晴れてる日は大嫌い。
眩しい太陽が私の目を潰すから。だから夏は嫌い、目が痛くなるし暑いし、何よりもこんな事になったのは太陽のせいだからだと思うし
「おや?おやおやおや」
「あれ・・・此処・・・」
目を開けたらそこには滅多に見ることの無い保健の先生がいた。私の眠っていたベットの端に座って熱くなった私のおでこに明智先生は手を当てている
「保健室ですよ、大丈夫ですか?」
「平気です・・・暑いの駄目なだけなんで」
そう言って起き上がろうとしたら明智先生に「まだ駄目ですよ」と止められた。先生によるとダサい事に私は校庭での朝礼中に貧血と熱中症で意識が途切れ倒れたらしい。そして担架で此処まで運ばれ明智先生のお世話になることになったのだと。
「すみません、迷惑かけたみたいで」
「いえいえ、それが私の仕事ですからねぇ」
ニコリと言うよりはニヤリと言う笑みを浮かべ明智先生は立ち上がり、湿布や包帯などが置かれている棚のほうに向かった。
そういえば“保健室の明智”と言うそのまんまな通り名を聞いたことがある。この学校では有名な話で、私が倒れた時も誰かが「やばいんじゃね?」と言っていたのが耳に残っている。だが私はどうして明智先生にそんな通り名が付いているのかしらないし。怖い、と言うのは聞いたことがあったが今まで興味も無かった。
「あの・・・明智先生?」
「いい声で鳴いて下さいね」
何かを持って戻ってきたのは見えた。それがまさかメスだなんて思いもしなかったから少しだけ驚いた。この人は何を言ってるんだ?
「怯えて声も出ませんか?ククク」
厭らしく笑いながら私の肌にメスを這わせ、ぷつり。腕に小さな血だまりができた。なんか可愛い・・じゃなくて!教師として大問題だろこれ!完全に弱く見られているのが物凄く癇に障る
「だったら私にも武器下さいよ!」
「は?」
「だって不公平でしょう?」
そう言えば明智先生は笑って「威勢がいいですねぇ」と言った。いや、だから武器よこせよ。此処で易々と終わらせられて成仏出来るほどまだ人生満喫してないんだ
「気絶しなかったのは貴方が始めてですよ」
「は?」
「みなさんメスを見せるだけで倒れてしまいますからねぇ」
「つまらなそうですね」
「えぇ、つまらないです。それじゃなくても此処はする事がない」
「要するに暇なんですね」
少し楽しそうに、少し不満そうに、明智先生はメスを机に置き代わりにシャーペンを握って暫くペンを走らせて、担任の先生に渡す授業の遅刻届けを私に渡した。
「もう教室に戻って良いですよ」
「はぁ・・・どうも」
「また、いつでも来てくださいね?」
「遠慮します、怪我が増えるんで。失礼しました」
初めて言葉を交わした明智先生。なんだ、噂と違って面白い人じゃないか。遠慮するとは言ったが、まぁ今度は退屈しのぎにでも遊びに行ってあげよう