久々に青葉山城に来れて政宗のよく言う、てんしょん?が上がっていた。どんなに逢いたくてお父様があまり政宗に逢わせてくれないから、久々の事が嬉しくて嬉しくて、政宗に教えてもらったすきっぷをして庭ではしゃいでいた。政宗は私の様子を楽しそうに眺めていたから、そんな政宗に向かって声を大きくして叫んだの。
「いつかね!天使さまが私を迎えに来てね、神さまのところに連れて行ってくれるの!」
そうニコリと言う私とは対照的に政宗は「Ah-・・・何言ってんだ?」と返してきた。当然の反応は期待通りの反応でニコリと笑ってから駆け寄って事の経緯(元親の所に行った時に襲撃してきた宗教の話)を説明した。そうしたら政宗は眉を寄せて「アイツのところに行ったのか」って。
「嫉妬してくれてるの?嬉しい」
「Ha!変な奴には気を付けろよ、you see?」
「うん!」
「意味分かってんのか?・・・相変わらず、細ぇ腕だな」
嬉しくて首元に抱きついて返ってきた言葉に、思わずビクリと肩が上がった。だって私が此処に来る事をお父様が許した理由が、もしかしたらバレたんじゃないかと思ったから。私の死が近いと、気づかれたんじゃないのかと思ったから。
「ゆっくりして行けよ?」
「お言葉に甘えて」
本当はゆっくりなんて出来ない、明日には帰らないとお父様に怒られる。出来れば愛しい政宗の元で死ねたらどんなに良いだろうと思うけれど、彼に迷惑をかけるだけになってしまうだけだし。矢張り静かに自分のあるべき場所で死にゆくしかないのだろうな、これが最後の・・・、
「なまえ、散歩でもするか?」
「馬に乗りたい!政宗の後ろに!」
「Ok,come on!」
馬を連れて来た政宗に手を引っ張ってもらい後ろに乗り腰に手を回し、ぎゅっと強く抱きしめた。密着して感じる体温、人って温かいんだね。冷たくなるってどんな感じなんだろう?冷たくなっていくなんて怖い、でも絶望だけじゃない。天使さまと仲良くなれると良いな。
暫く馬を走らせてから着いた静かな野原に広がる花畑は、天国のようにキラキラしていて馬から下ろしてもらってすぐただひたすら駆け回った。此処が天国だったら良いのに、甘い華の香りに綺麗に輝く空、傍には政宗もいて、これ以上の幸せなんてきっと無い!絶対に無い!
「Hi,honey」
「どーしたの?政宗」
駆ける足を止めてすぐに後ろから強く抱きしめられた。嬉しくて声が自然と高くなったのが自分でも分かる。それから政宗は私を抱きしめたまま花畑に倒れて空を見上げ、私もつられて空を見上げていた。せめて死ぬ前にこのだだっ広い空の終わりを知りたかったな。
「I love you...」
「あいら・・・どういう意味?」
「愛している。ずっと傍にいたい」
「・・・うん、私もだよ」
そう精一杯の笑顔で答えれば政宗も笑い返してくれた。天国は案外近いかもしれない、だって政宗の一言一言に今にも私は死にそうだもの。
それから数週間たったある日、私は天使さまに連れられて神さまのところへ行った。短い生涯だったけど、その中で政宗に愛してると言ってもらえて幸せでした。傍にいたいと言ってくれた政宗から旅立った事、政宗が知ったら怒るかな。