灰色の空。
なんてありがちの表現がぴたりと似合う、雨が激しく降り落ちる窓の外。もうすぐ授業が終わりそしたらあの雨の中を帰らなければならない。はぁ・・・憂鬱さから出た溜息は誰に聞かれること無くクラスメイトの話し声に消された
そしてチャイムがなりクラスのざわめきが一層強くなるのだ。私は一人机に伏せて目を瞑る。今日も疲れた、何だって毎日こんな所に来て赤の他人と一緒に同じ事を学ばなければならないのだ。・・・いや、分かっている。それは私が学生であり、親の支えで生きている身分だからと言う事。それでも常に同じ事を思ってしまう
HRの終わった教室は先ほどよりも静かだが掃除当番に邪魔だと言われて出て行くざる終えなくなった。雨にやむ気配はない、もういっそ濡れて帰ろうか・・・そう廊下の窓越しに外を見ながら考えていたら、トンッと一瞬、肩に重みがかかり勢いで振り返ってみれば虎鉄がいた
「な〜に辛気くせぇ顔してんだYo!」
「雨、嫌いなんだもん」
私の暗い反応に虎鉄は溜息をついてわざとらしく「やれやれ」と手を額に当てて首を振った。この反応をされるのは何度目だろうか、私に気をかけるくらいならそこら辺にいるような女の子でも引っ掛けてればいいのに。こんな事に時間を無駄にする虎鉄も物好きな奴だ
「私。帰るから」
「Ha-n?傘もってねぇのKa?」
「無いよ。忘れた」
「しかたねぇNa、ほら貸してやるZe」
そう言って虎鉄は私に黒い折り畳み傘を手渡してくれたが私が借りたら迷惑だろう?キザだからいつもの癖みたいなもんなんだろうけど、私にかっこつける必要なんて無いのにね。まぁ馬鹿だから仕方ないのか
「別にいい。虎鉄に風邪ひかれたら困るし」
「お前が看病しに来てくりゃあいいZe」
何言ってんだ。馬鹿は風邪引かないんでしょ?でも、もしひいたら見舞いくらいは行って上げてもいいかもしれない
「じゃあ借りる。テキトーな女子の傘に入って帰ってね」
「かわいくねぇー奴」
素直に言ったってキモイって言うくせに。でもありがとう、貴方だけだよ?私に優しくしてくれるのは。でも安心してね、勘違いなんてしてないから。虎鉄はみんなに優しい人だって知ってるから、だから、下手に近寄って私を傷つけないで