日頃は樹っちゃんが作った料理ばっかり食べてるから、
たまには私が料理を振る舞おうと、厨房に立つ。
「ハンバーグ定食、作ります!」
「おぉ、頑張ってなのね」
この前テレビでやっていた、
レンジで作れる簡単ハンバーグ。
特製ソースには赤ワインを使ったりと、材料を揃えるのは中学生の私には難しいと思ったけど、
さすが樹っちゃん家、なんでもあるね。
「さ!まずは…」
「まずは?」
「樹っちゃん、厨房から出てって」
「ええ!?」
「や、だって樹っちゃん、絶対口出しするじゃん」
「…」
しょんぼりしながらも、図星だったのか、樹っちゃんはとぼとぼと厨房を出ていった。
「さ、まずはー、パン粉と牛乳か」
絶対おいしいもの作って、
樹っちゃんを唸らせてやる!
そしたら、“将来ここで働いて欲しい”だなんて頼まれて…
「ってそれってプロポーズ!!きゃー!」
若干無理のある繋げの妄想に騒げる私は幸せ者だろう。
「……なんか伶奈、厨房で騒いでるのね…大丈夫かな」
*
「よしっ、でーきた!」
ポイントは、大きめにみじん切りした玉ねぎよ★
なんて言ってた料理番組の先生の顔を何度も思い出しながら作ったハンバーグ。
盛り付けも完了し、ハンバーグ定食、かんせーい!
「伶奈〜?」
おや?どうやらちょうど樹っちゃんが降りてきたようですね
「できたよ樹っちゃん!さては、良い匂いにつられて、降りてきちゃったな?」
「や、ただ定食作るにしては遅すぎると思って心配して降りてきたのね。」
「………」
「でも、本当いい匂い」
「で、でしょ!?」
樹っちゃんはハンバーグ定食の前に座って優しく笑う。
「さあ、召し上がれ!」
「いただきます」
「……」
「……」
「…どう?」
「赤ワイン、多いのね」
「え」
「ていうか、ソース、真上からぶっかけてあっためたでしょう。そのせいで、シメジの味が超赤ワイン」
超赤ワインって日本語なんだよ
「あ、でも一応火は中まで通ってるのね。その点は安心だけど、まあ、店では出せないのね〜」
ひど!!樹っちゃんひど!!
「…柔らかい言葉でコンボかますよね、樹っちゃんって」
「?」
「まずかったら食べなくてもいいよ〜」
「あ、いや、でも、スッゴク美味しいのね」
「さんざん言っといて!?」
「店に出すのは無理だけど、サエ達は、美味しそうに食べるのが目に浮かぶのね」
「あ、まじで?ああ、その程度の腕ってことか、ちょっと救われたよ」
「玉ねぎがおっきめなのも良いのね。玉ねぎの甘味が際立ちますね。伶奈のことだから、もしかしてみじん切りすら出来ないのかと思ったけど」
「オイコラ」
「あ、それに、もしスッゴイまずくても、残さず食べるのね」
「ん、なんで?」
大好きな女の子の手料理ですから。
(サエ達は、なんて言ったけど…これからも俺だけの為に作って欲しいな、なんて)
「樹っちゃん、料理を美味しく作るコツは?」
「んー…、大切な人のことを思って作る、かな」
「食べてもらう人、じゃなくて?」
「それでも良いと思うのね」
「あ、でも私、料理番組の先生のことばっかり考えながらハンバーグ作ってた」
「…そうですか」
…………………・
今日実際に、晩ご飯でハンバーグ作りまして。
何げに晩ご飯全部作るのは初めて←←←←
そんで作った結果が、樹っちゃんのダメ出しかな、って(笑)
味にうるさそう。樹っちゃん。
まあ、旨かったですよハイ!
ただ、赤ワイン多かった(笑)