※赤澤視点



聖ルドルフのレギュラー陣が、部活後に部室に集まり、談笑していた。

観月の彼女でありマネージャーでもある本城は、突然こんな話題を提示した。


「赤澤、将来の夢、何?」

「ん?ウルトラマン」

「……」

「…へぇ」

「そ、うなんですか」

「い、いいじゃないですか素敵です」

「部長ならきっとなれると思います…」

「………」

「…え!?す、すまん!ウケを狙って言ったんだが…まさかここまで空気が悪くなるとは!」

「ウケ…?いや…赤澤だったら、本当にウルトラマンになりたいって思っていそうで…笑ったら悪いかと」

そんな観月の目は冷えきっている。

「本気な訳ないだろ!」

「くすくす、どうだか」

「そっ…そういうお前は、将来の夢何なんだよ!」

「僕?僕は亮と2人でお笑いの頂点目指すんだよ。」

「なんでお前はすぐ分かる嘘つくんだよ」

現に、今の淳のセリフは部員の笑いをかなりとっていた。

畜生、これが俺とこいつの差か。

「くすくす…別に僕の自由でしょ。僕の夢は、現実的になるまで内緒」

口の前に人差し指を添えた淳の将来の夢は、どうやら人に言うのも恥ずかしいくらいのものらしい。

「俺は子どもと遊べる仕事をするだーね!」

「それ普通に保育士って言えばいいじゃん」

「裕太くんはありますか?」

「あ、俺はまだちゃんと決めてませんけど…人の役に立てる仕事がしたいですね」

「いいよね、そういうの」

「そういうノムタク先輩は?」

「僕?僕は、仕事っていうか、とりあえず、いつかはアメリカ辺りに勉強しに行きたいな」

「へえ!すごいですね」

ノムタクはスケールのでかい夢を語り、後輩2人に羨望の眼差しを受けている。

…確かこいつ、英語のキャサリン、好きだったよな

「…ノムタク、お前どうせパツキン美女に囲まれて生活したいだけだろ」

「ぶっ!!ちち、ちが違う!!!」

「くすくす…図星だ」

「…観月さんは、将来、何になるんですか?」

騒ぐノムタクを尻目に、裕太は観月に話題を振った。

「僕ですか?僕は可能性に溢れた子ですからね…候補がいくつもあって困ったものです」

「そうなんだ」

これは笑っちゃいけない。
俺のウルトラマンはウケ狙いだが、観月のこれは、真剣だ。

(可能性に溢れた子って…自分で言うか?普通)

まあ、それが観月なんだろうし、観月が可能性に溢れているのは事実だ。

「皆、意外としっかり考えてるんですね」

「くすくす…赤澤以外はね」

「ぬぉっ…」


こんな話題になったせいで、俺、すごくバカにされてる!?
ていうかそもそも誰だ、こんな話題にしたやつ…

(本城じゃねえか!)

思わず本城の方を見ると、本城は一人でニヤニヤしていた。

「…本城?お前なんだその顔」

「ん〜?なんか、こうやって夢を語り合うって、青春ぽくていいなあって」

「お前が語り合うように仕向けたんだろ」

そう言ってやると本城は、まあね、と相変わらずニヤニヤしている。

「本城はあるの?将来の夢」

「私?観月のお嫁さん」

「っ!?ごほっ!ごほっ!本城さん!そんな恥ずかしいことを人前で…!」

観月は飲んでいた紅茶でむせ、真っ赤になりながら本城に注意していた。

「……」

本城の解答は、俺に仲間意識が芽生える程、アホなものだったハズ。
だが、素直に喜べないのはなんでだろうか。

「えーっ、観月、私のこともらってくれないの!?」

「そっ…そんなこと言ってないでしょう!」

ギャーギャー騒ぐ2人を眺め、俺はため息をつく。


「…なんていうか…」


(そういうのは余所でやれ、バカップル。)






おわり。

………………・
別に赤澤がヒロインのこと好きとか、そういうのは無いですよ!

赤澤夢でいこうかとも考えましたが、なんていうか、直球で愛されてる赤澤は嫌だ(笑)
赤澤は直球で愛す奴だ、絶対!

 


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