(木更津亮夢)



ショートボブの似合う、可愛い女の子。

それが僕の彼女だった。

それが、いきなり。

「髪、伸ばそっかな」

「………うそ」


やめてください。

こう見えて、君の髪型、大好きなんです

「うそついてどうすんのよ」

「な、なんで髪伸ばすの?」

あくまでも平静を装って訪ねてみる。

「ん…、」

すると、なんとも言えない表情で見つめられた。

なんで分かんないかな、みたいな顔。

いや、分かんないよ。

「教えてよ」

「……だってさ、おかしいじゃん」

「なにが?」

「彼氏より彼女の方が、髪、短いなんてさ。」

「……」

あ、そういうことか

僕のせいか
僕がロン毛のせいか

「…そんなこと無いよ」

実際、おかしなことなんて別に無いでしょ。

「んーん。おかしいよ。いい機会だし、伸ばすよ」

「や、それなら僕が君より短く髪切るって。だからショートのままでいなよ」

「…なんでそんな必死に引き止めるの?」

あ、やばい

「亮ちゃん、自分のロン毛、大事にしてたじゃない」

だって、それよりも君のショートボブの方が大事なんだもん

なんて言えるか!

「…なんで照れてんの?」

「!てっ、照れてなんか、」

「照れてるよ」

「照れてない!」

「ねえ、私もね、亮ちゃんのロン毛が好きなんだ」

「っ、」

やばい、今は確実に、顔、真っ赤だ

「だから切って欲しくないなあ。だから、私が伸ばすの」

「僕だって……っ」

「?」

「君のショートボブが、好…」

ふと視線を合わせると、それはまあかわいらしい彼女の不思議そうな顔。

「す?」

あ、やばい。
彼女の顔を見た瞬間、
緊張でガタガタと震えだす手。

「やっぱ無理!」

「ちょ、どこ行くの!」



亮が逃げ出して、数秒後。

「あちゃー…逃げられたか」

ゾロゾロと影から出てくる、亮以外の六角レギュラー陣。

「まあ、照れてるとこ見られただけ良かったよね」

「でも、あとちょっとで亮ちゃんに“好き”って言ってもらえたのになー…ちょっと残念」

「亮の“好き”は、あくまでも髪型なのね〜」

「分かってるわよ!だって普段は恥ずかしがって、絶対言ってくんないんだもん!あ、それより、亮ちゃん、久々に私の目、見てくれたよ!」

「(なんかかわいそうだなコイツ)」

「あんなに照れて焦る亮さん、初めて見たね」

「確かに!最後見たかよ?目ぇ見た瞬間、ガタガタ震えだしてたぜ!!」

「メデューサに襲われたみたいだった」

「「黙れダビデ!!」」

「ところで、本当に髪伸ばすの?」

「伸ばす訳ないじゃん。自分でもこの髪型気に入ってるの。だいたい、亮ちゃんが長すぎるのよ。ロン毛ウザイ」

「(さっきは好きって言ったじゃん)」

「……あ!」

「ん?何バネさ……あ…亮ちゃん!!」

「決心して戻ってきてやったのに…そういうことだったんだ」

「あ…いや、違……」

「…もう言ってやんない」

「…え?何を?」

「…好きだ、なんて、一生言わない!」

「!亮ちゃん、もっかい言って!!!」

(見せつけてくれるなあ、こいつら)



亮ちゃん、大声出すのも、照れ隠しだってしってるよ!

…じゃあ、君の辛辣な言葉も、照れ隠しと受け止めていいのかな

…や、あれは普通に本音

………。








………………・
亮ちゃんのキャラが分からんくなった話でした。
一人称………。

亮の照れた顔を見たい!という彼女の相談に、

亮は彼女の髪型が相当好きだったはずだから、と作戦を立てたレギュラー陣。

好き、とか言ってくれたら一石二鳥だよねーくらいの気持ちだったけど、
目まで見てくれたから、
一石三鳥です。

後半からは、樹っちゃん以外、口調が被りまくりな罠

ダビデの突っ込みは、バネさんと彼女です。

 


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