「厳しい冬の寒さもやっと終わりをつげ、桜の蕾が膨らみ始めている今日、」

高見先輩、答辞読んでる。
高見先輩、よくそんな難しい日本語知ってますねー。あーはいはいすごいすごい

「あーー…めーんーどーくーさーいー」

「何を言うか伶奈、まじめに受けろ」

「なによ進ちゃんー、あんたクソ真面目だからそんなこと言えんのよー。あたしからしたらこんな儀式うんこ以外の何物でもないわー。」

「はしたない言葉を使うな。それから今は式中だぞ。静かにしろ。足を組むな。」

「はいはーい……」


だいたい、なんで私達2年生が卒業式に出席しなきゃならないわけ?しんどいったらありゃしないじゃない。


とにかくこの状況を、一言で現すと、


「…うんこ!」


「うるさいぞ伶奈」

「すみません」

わ、進ちゃんに睨まれた。
すげえ、進ちゃんの怒った顔初めて見た。





卒業式が終わり、もう校内に残っている卒業生も少なくってきたころ、

私はまだ高見先輩を引き止めていた。

「たーかーみーせーんーぱーい!!まーだ行かないで下さいよー!!」

「いや、でもそろそろ家に帰って勉強しなきゃ…」

「そーんな毎日毎日勉強してたら頭腐りますよ!?だいたいね、医者になるんだったら、あんな難しい日本語覚えても仕方ないですって!」

「頭腐るの…?」

「とにかく!!今日くらい休みましょーってー!!」

「いやでも…」

「こら伶奈!」

「あ、進ちゃん」

「高見先輩、すみません」

「ちょ、進!首を掴むな!ぐ、ぐえ」

「いや、いいよ。それじゃ。」

「えー待ってよ高見先輩いい!」

「…大丈夫だよ、伶奈ちゃん。またすぐ、ここに遊びにくるから。」

高見先輩…なんて優しい顔…!


「…はい!遊びに来て下さいね!勉強ファイトです!でも、頭腐らないように気をつけて下さいねー!!」

「はは…。ありがとう!じゃあね。」

「さよーならー!!」

進ちゃんはペコリと頭を下げるだけ。

なによこいつ。クソ真面目な奴には血も涙もないのかしら!

「進ちゃんは、悲しくないの?」

聞くと、そいつはものすごく顔をしかめた。

「悲しい?なぜ、悲しいのだ?会いたいならいつでも会えば良いし、先程高見さんも遊びに来るとおっしゃった、それに」

「あーもう、いい!」

「?」

「進ちゃんは、だめだ!大事な何かを失っているわ!」

「そうなのか?」

「そうよ!たしかにね、会おうと思えば会えるよ!だけどね、もう、校内をどれだけ探してもね、高見先輩達はいないのよ?」

「当たり前じゃないか」

「ああもうだめよ進ちゃん!鈍感すぎ!」

「そうか?」

「はあ…私は悲しいわ。」

「まあ、元気を出せ」

「うるせーこんちくしょーうんこ!」

「だからはしたない言葉を使うな」

「あーもう…、ねえ進ちゃん」

「なんだ?」

「進ちゃんは、なんで悲しくないの?」

「だからさっきも言ったではないか、会おうと思えばいつでも会えるし、」

「そういうんじゃなくて、もっとさ、理屈とかじゃなくて、直感的によ」

「直感、的に…?」

「うん」

「……悲しい」

「え」

「…かも知れない。」

「…ふーん」

「…来年は、俺達の番なんだな」

「そうよ!最後の一年なんだから楽しまなきゃね!」

「…伶奈」

「なーに?」

「…3年生でも、同じクラスになれたらいいな」

「?なんでよ?部活の連絡なら部室でできるじゃない。」


「……鈍感女め」

「んなあ!?お前に言われたくないっつの!!」











そしてまた春が来て

(来年の今頃、私達は少しは成長できているのだろうか)










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つまり進ちゃんってかわいいよね!っちゅう話だよ(^^)

やっぱり会話文だけになりがちだね…興奮しちゃうから←


元フリー