「厳しい冬の寒さもやっと終わりをつげ、桜の蕾が膨らみ始めている今日、」
高見先輩、答辞読んでる。
高見先輩、よくそんな難しい日本語知ってますねー。あーはいはいすごいすごい
「あーー…めーんーどーくーさーいー」
「何を言うか伶奈、まじめに受けろ」
「なによ進ちゃんー、あんたクソ真面目だからそんなこと言えんのよー。あたしからしたらこんな儀式うんこ以外の何物でもないわー。」
「はしたない言葉を使うな。それから今は式中だぞ。静かにしろ。足を組むな。」
「はいはーい……」
だいたい、なんで私達2年生が卒業式に出席しなきゃならないわけ?しんどいったらありゃしないじゃない。
とにかくこの状況を、一言で現すと、
「…うんこ!」
「うるさいぞ伶奈」
「すみません」
わ、進ちゃんに睨まれた。
すげえ、進ちゃんの怒った顔初めて見た。
*
卒業式が終わり、もう校内に残っている卒業生も少なくってきたころ、
私はまだ高見先輩を引き止めていた。
「たーかーみーせーんーぱーい!!まーだ行かないで下さいよー!!」
「いや、でもそろそろ家に帰って勉強しなきゃ…」
「そーんな毎日毎日勉強してたら頭腐りますよ!?だいたいね、医者になるんだったら、あんな難しい日本語覚えても仕方ないですって!」
「頭腐るの…?」
「とにかく!!今日くらい休みましょーってー!!」
「いやでも…」
「こら伶奈!」
「あ、進ちゃん」
「高見先輩、すみません」
「ちょ、進!首を掴むな!ぐ、ぐえ」
「いや、いいよ。それじゃ。」
「えー待ってよ高見先輩いい!」
「…大丈夫だよ、伶奈ちゃん。またすぐ、ここに遊びにくるから。」
高見先輩…なんて優しい顔…!
「…はい!遊びに来て下さいね!勉強ファイトです!でも、頭腐らないように気をつけて下さいねー!!」
「はは…。ありがとう!じゃあね。」
「さよーならー!!」
進ちゃんはペコリと頭を下げるだけ。
なによこいつ。クソ真面目な奴には血も涙もないのかしら!
「進ちゃんは、悲しくないの?」
聞くと、そいつはものすごく顔をしかめた。
「悲しい?なぜ、悲しいのだ?会いたいならいつでも会えば良いし、先程高見さんも遊びに来るとおっしゃった、それに」
「あーもう、いい!」
「?」
「進ちゃんは、だめだ!大事な何かを失っているわ!」
「そうなのか?」
「そうよ!たしかにね、会おうと思えば会えるよ!だけどね、もう、校内をどれだけ探してもね、高見先輩達はいないのよ?」
「当たり前じゃないか」
「ああもうだめよ進ちゃん!鈍感すぎ!」
「そうか?」
「はあ…私は悲しいわ。」
「まあ、元気を出せ」
「うるせーこんちくしょーうんこ!」
「だからはしたない言葉を使うな」
「あーもう…、ねえ進ちゃん」
「なんだ?」
「進ちゃんは、なんで悲しくないの?」
「だからさっきも言ったではないか、会おうと思えばいつでも会えるし、」
「そういうんじゃなくて、もっとさ、理屈とかじゃなくて、直感的によ」
「直感、的に…?」
「うん」
「……悲しい」
「え」
「…かも知れない。」
「…ふーん」
「…来年は、俺達の番なんだな」
「そうよ!最後の一年なんだから楽しまなきゃね!」
「…伶奈」
「なーに?」
「…3年生でも、同じクラスになれたらいいな」
「?なんでよ?部活の連絡なら部室でできるじゃない。」
「……鈍感女め」
「んなあ!?お前に言われたくないっつの!!」
そしてまた春が来て(来年の今頃、私達は少しは成長できているのだろうか)
…………………・
つまり進ちゃんってかわいいよね!っちゅう話だよ(^^)
やっぱり会話文だけになりがちだね…興奮しちゃうから←
元フリー