※山崎関西弁



「どうだ山崎くん!俺らはもうすぐ江戸に帰るんだが、一緒に来ないか!」



行かないつもりだった。

いくらこの田舎で俺が嫌われていようとも、俺はこの田舎が好きだった。

それに何より
あの子の存在。


だけど、

「……考えさせてください」

だからこそ、あの子はどう言うのか、気になった。







「退っ」

「伶奈ちゃん…」

あの子のことを考えてたら、本人が来た。

「退、考え事あったら、すぐ河川敷行くよなあ」

「そうやな。一人で考えたいから河川敷に行くんに、そうしたら必ず君が後で来る。困ったもんや」

君が後で来るのを知ってるから、俺はここに来るんだけどね。

「えへへ」

「や、褒めてへんで?なんで照れてんねん」

「退〜、そんな憎まれ口ばっか叩いとるから、この村から孤立するんやよ〜この変人め〜」

「その変人に唯一積極的に話しかけてくる君も変人やね…」

「うん」

うんって何だよ

「…………」

「………」

「…ねえ、真選組から誘われたってほんま?」

「ほんまやで。」

…俺も、君にこの事、相談したかったんだ

「まだ返事してへんけど」

「行かへんの?」

「……伶奈ちゃんは、俺が真選組に行った方がええと思う?」


俺ね、君が好きなんだ。

恋人になれなくていいから、離れたくないんだ。
だから、この田舎も好きなんだ。
だから、真選組も、断りたいんだ。

行かないつもりなんだ

だけど


今まで無かったんだ、誰かに必要とされたの。
だから、あの近藤とかいう人に誘われたとき、心底嬉しかったんだ。


真選組には行かないけど、本音は、行きたいかもしれないんだ…


「退の、好きなようにすればええと思うけど…」

「…」

「…退」

「何?」

「私な、江戸に興味あってんよ」

「……」

「この田舎も大好きやねんけど、江戸の暮らしにも憧れるって言うかあ」

「………」

「…せやから、もし退が江戸に行くんやったら、たくさん、江戸の話聞きたいなあ」

「……」

いつもそうだ。

彼女は、我儘を言うフリをして、いつも俺の背中を押してくれる。

…恩返しくらい、したいなあ

「ほんなら…、一緒に江戸行く?」

「えっ?」

「どうせなら、な。頼んでみるし」

これが、恩返しになるかなあ

というか、君が一緒に江戸に行ってくれるなら、喜んで真選組に入るけど

「…やや!」

「えっ?」

「いやや、“江戸に興味あるから退についてきた幼なじみ”なんて肩書き!」

「は?」

「実際のところ、退、私と一緒におりたいだけやろ!」

「そ…そんなこと、」

「そんなことある!正直になれ!」

「………」

「正直になれ!」

何なんだろうこの子は。

「……せやね。そんなことあるね。」


「せやろ!?
ほんなら、言いたい事はそれやないやろ!?」

「…え…」

「…私、結構長い間、退の方から言ってくれんの待ってたんだけどなあ…」


……そういうことか

ずっと、待たせていたのか、俺

ずっと前から、こんな素敵な子に必要な人になってたんだ

うわあ、悪いことしたなあ


「待たせてごめん。伶奈ちゃんが好きです。俺と一緒に、江戸へ来てください」


「ごめんなさい」


「はあ!?」


「嘘よ。好きやから、結婚してください」






(おっ!真選組に入ってくれるかあ!嬉しいなあ、早くトシに報告…え、連れ?別に何人でも連れて行っていいが…続柄は友達か?妹か…え?よ、嫁…!?)



…………………・
あとがき
久々すぎる更新
久々に文章書いたから、駄文が増した気がする…orz
でもこの話、実は結構前から書きたかった話なんで、書けてよかったです

山崎は、真選組に入隊するまでは、今ほど明るくなく、どこか塞ぎこむような性格だったら良い
真選組のおかげで!みたいなのが良い


11.11.16ちょっと書き直し。
山崎の田舎を、山崎のモデルを参考に大阪にしました。

 


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