#ac2_total# 小説2 | ナノ

 

明日こそは、君と素直に向き合えますように。


『性格が悪い女の子』



私は性格が悪い。
生きているとつくづく思う。
思い返せば小学生の頃からそうだった気がする。
誰かが担任の先生に怒られているのを見るのはどこか面白かったし、大人数の前で見せつけるように内緒話をするような子だった。
他人より優位な立場にいる自分を意識することで、優越感を得たいだけなのだ。

そんな性格のまま15になってしまった私は、何かいいことないかなあとか思いながらブン太の赤い髪を見つめた。


秋の夕陽に少しだけ髪が照らされて、赤が黄金色にほんのり反射する。
夏にブン太が部活を引退してから、こうやって一緒に下校することが少しだけ増えた。
とは言っても、電車の方面は違うから駅までのほんの少しの時間。
一緒にどっか寄るほどの関係でもないし、引き止めるような理由があるわけでもない。
ブン太のことだからどこかに誘えば乗ってくれるんだろうけど、そこまででもないのが本音…だな。


「あーあ、なんか引退すると何したらいいか分かんねーなー」
「勉強でもしたら?」
「無理。青春の輝きを勉学に費やすとか無理」
「でもあっという間に中間テストくるかんね」
「あー。彼女、ほしいなあ」
「…べつにブン太ならすぐできるでしょ。私と違って。」


ほら、最後の一言が少し卑屈で、やっぱり性格悪い。


「あ。ほら、隣のクラスの。なんだっけ小嶋さん?ブン太のこと好きなんだって」
「……ふーん、誰それ。知らねえ奴」


ブン太は最初興味を示さなかったものは多分ずっと見向きもしないタイプだと思う。
小嶋さんの恋、終了。

残暑も過ぎて、これから少しずつ紅葉が始まる。駅に続くけやき通りを通り抜けながら、ほんのり色づいたその葉を見つめた。
…夏が終わるのはあっという間だった。
きっと秋も気づいたら終わってて、あっという間に冬がきて、卒業するんだろうな。
そのころには、きっと、なんて。



「なあ、その小嶋って子には言っといて。俺には好きな奴がいるって」


「…ふーん、分かった」


誰?とは聞けなかった。

ブン太が誰それって言った瞬間、誰かが先生に怒られているときと同じ感覚がした。
ブン太と二人で帰っている時のこの気持ちは、皆に見せつけるように内緒話をしていたあの感覚と似ていると思う。

心なしか足早になって、二人で同時に改札を抜ける。

「んじゃ、俺こっちだから」
「うん、また明日」


どこか不機嫌そうにガムを膨らますブン太にくるりと背を向けて、小走りでホームに駆け降りた。
明日にはいい子になれますようにと心で唱えながら。

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