届け、願い近所の小さな公園で行った線香花火の火の粉が音を出して輝き消える、足元の雑草を焦がしながら夏の匂いを漂わせた 三男が夕飯の支度真っ最中の午後六時半頃、息を切し、目を輝かせた五男が勢い良く居間の扉を開けた、五男の帰宅を待ち構えていた次男がゆっくりとソファーから起き上がりどうしたのかと声をかけると学校の友達が最後まで火が消えなければ願い事が叶うという線香花火の願掛け方法を教わったらしくそれを実践してみたいとのことだった、「どうする…?」もう夕飯時ということもあり四男は決定権を持つフライパンを握る三男の背中に問い掛けると夕飯後ならいい、三男の応えと同時に去年の残りであろう開封された線香花火を酒を片手に五男の目の前で揺らす長男がいた 近所の小さな公園で行った線香花火の火の粉が音を出して輝き消える、足元の雑草を焦がしながら夏の匂いを漂わせた 三男が夕飯の支度真っ最中の午後六時半頃、息を切し、目を輝かせた五男が勢い良く居間の扉を開けた、五男の帰宅を待ち構えていた次男がゆっくりとソファーから起き上がりどうしたのかと声をかけると学校の友達が最後まで火が消えなければ願い事が叶うという線香花火の願掛け方法を教わったらしくそれを実践してみたいとのことだった、 「どうする…?」もう夕飯時ということもあり四男は決定権を持つフライパンを握る三男の背中に問い掛けると夕飯後ならいい、三男の応えと同時に去年の残りであろう開封された線香花火を酒を片手に五男の目の前で揺らす長男がいた 野菜炒め、味噌汁、白米、と簡単な夕食を済ませ五人で近所の公園に向かった、 水道の近くに座り込む三男、四男、五男、それを少し離れたベンチから見ている長男、次男、四男は軽く湿気った線香花火を一本取り出し普段煙草に使うライターで中々火のつかないそれに苛立ちながらも三本目でやっと火が付きそれを五男に渡した、 目を瞑り小さく「お兄ちゃん達とずっと一緒にいられますように」と呟くのが聞こえ無意識に四男は三男と目を合わせ二人して照れ臭そうに微笑んだ、次に火をつけた線香花火を三男に渡すと本気で願うように「増税がどうかなくなりますように…」そう何度も呟いた 笑いそうになるのを堪えながらも自分の線香花火に火をつけ少し考えてから二人に気づかれないよう火の粉の音に紛れさせ小さく願いをもらした、無論その四男の願いに五男と三男は顔を合わせ小さく微笑んだ、 そんな三人が何を願っているのかを知っているように家から持ってきた少量の酒を喉に流し込み叶うといいな、と来週末祭で大きな花火上がるのであろう空を見上げた。 (皆の願いが叶いますように) End |