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八月十五日、エスチュアリーは潜入先の物陰で息を潜めていた。周りには人影はなくとても静かで、まるでこれから起こる出来事を引き立てようとしているのかとも感じられる。
他の組員はきっと別の場所に各自ひそんでいるのだろう。椿組に入ってあまり期間がたっていない彼女にとって初めての大騒ぎに、単独行動をすることに少しの不安。けれども椿組としてこれほどの大掛かりな戦いに参加しているという事実は彼女の気分を高揚させていた。

突然何処からか爆発音が聞こえる。彼女は音に驚きもせず、口角をあげる。業者の制服の帽子を深くかぶり、こつこつとヒールの音と共に歩き出した。

爆発音により異変に気付いたのか一人、白衣の男性が彼女へ近づく。

「業者がどうしてこんなところにいるんだ。お前何者だ。」

彼女を警戒して少しずつ近づきつつ、質問を投げかけたが、彼女は口を開かない。
「おい、こたえろ。」

男性が彼女に触れようと手を伸ばした時、男性は急にぐらついた。足元をみると足が地面にめりこんでいる。そのままずぶずぶと足元の地面が沈んでいく。

『折角の大騒ぎのはじまりを邪魔した罰だよ。閉じ込められて動けなくなるだけで、死にはしないから。運がよければ誰か引き上げてくれるよ。』

穴に閉じ込められ、状況を理解できていない男性に異国の言葉で話しかける。男性は言葉を理解できていないようで、狭い穴の中で届かない地上に必死に手を伸ばしている。

『誰かに見つけてもらえたらいいね。きっと叶わないと思うけど。』

そう言ってぽっかりあいた穴を後目に騒ぎの方へむかった。

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この子能力こんなふうでいいのか。



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