ハンター試験開始 01
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試験会場にたどり着いた4人に最初に声をかけてきたのはトンパという男だった。
セルシアは会った瞬間から怪しいと思っていたのだが、お近づきのしるしにジュースをもらい、それが“ヘンな味”であることをゴンが教えてくれた時点で「100%信用してはいけないおじさん」という認識が定着した。
そのトンパがハンター試験の常連を(聞いてもいないのに)教えてくれた。その中のひとり、奇術師ヒソカという重度の危険人物が、他の受験生の両腕を消している様子を遠目に見かける。
もちろん、その腕は元には戻らない。
(あの人は相当ヤバい・・・絶対近づかないようにしよう)
セルシアは他の受験生を観察しようと周りをざっと見回す。すると、トンパが白髪の少年と話しているのが目に飛び込んできた。
しかも少年はジュースの缶を5、6本手に持っている。
「!?」
セルシアは少年の身体が心配で目が離せなかったのだが、やがて彼は人ごみの中に消えてしまった。
(大丈夫かな・・・)
ジリリリリリリリリリリリリ
「では、これよりハンター試験を開始いたします」
奇妙な口髭をたくわえたスーツ姿の人――一次試験担当官のサトツと名乗る男が現れた。
一次試験の内容は二次試験会場まで彼について行くこと。場所や到着時刻は教えられないそうだ。競歩の選手のごとくものすごいスピードで歩き出したサトツを追い、受験生たちは走り始めた。
「さしずめ持久力試験ってとこか」
レオリオが呟いたその時、白髪の少年が4人の横をスーッと追い越した。