「マルコー!!そろそろ帰る?」
「ん、ちょい待ってて。これ如月に渡してくるわ」
「了解ー!大人しく待ってますっ」


今日は久々に早く上がれた。どうやらグラウンドもトレーニング室も、午後は他の部活が使うらしい。普段あまり休みがないため、たまには半日練にしよう、という話だ。明日は試合もあるから、ゆっくり体を休めるためでもあるらしい

久しぶりにこんな時間に帰れるのだから、マルコとどこかに寄って行こうかな。たまには放課後デートというのもしてみたい。そういえば、駅前に美味しいケーキ屋さんが出来たらしい。友達の話によると、おしゃれで落ち着いているお店で、デートには最適だとか。
この機会を逃すとなかなか行けなくなってしまうかもしれないし。早速今日誘ってみよう。

「お待たせ、どっか寄ってく?」

その言葉に私の胸は高鳴る。
マルコも同じこと、思ってくれてたんだ…。なんだか嬉しいな。
たった一言で幸せになれるなんて、私はなんて幸せ者なんだろう。

「あ、あのね!駅前に出来たケーキ屋さんがすっごい美味しいらしいの!」
「りょーかい」

そう言って歩きだす。他愛もない話をしながら過ごす時間がたまらなく愛しい。隣にマルコがいるというだけでこんなにも世界が明るくなるなんて。マルコに出会わなかったらきっと、この明るさを私は知ることが出来なかっただろう。


「あ!そうだ、マル…コ……っ!」

明日の試合のことなんだけど
そうしゃべりかけたはずなのに、何故だか声が出なかった



どかっ


今の音は、何だ
鈍い音が、した。隣にいたはずの名前がいない。
まさか。そんなまさか

「ぃやああぁぁぁぁああああああっ!!」
「き、救急車っ!!誰か、救急車をっ」
「君、大丈夫かい!?しっかりしろっ!!」

知らない人達の叫びが、聞こえる。

目の前に、良く知った人が倒れている。
間違いない、アレは名前だ。俺がアイツを見間違えるわけがない。
でも、少し前までの名前じゃない。周りの赤いモノは、何だろう。

何で名前は、倒れたままなのだろう。


そんな、嘘だ。嘘に決まっている。きっと夢だ。夢なんだ。俺は夢を見ているんだ。夢じゃなければ、名前の仕掛けたドッキリだろう。いつものように笑って「ビックリした!?」って言ってくれよ。さっきの話の続きを教えてくれよ。気になって眠れなくなるだろ。早く、起きろよ。そんなところで寝転がったら汚くなっちゃうだろ。


「名前、名前…?」

早く起きろよ。起きて俺の名前を呼んでくれよ。いつものように笑ってくれよ。
何でだよ、何でこんな、いきなり。
明日は試合もあるっていうのに。応援、しにきてくれるんだろ?差し入れもくれるんだろ?

「あー、やだやだ。そんなたちの悪い冗談はなしだろっちゅう話だよ」


遠くから、サイレンの音が聞こえた。


「…頼むから、もう一度……」


俺の名前を、呼んでくれよ
好きだって、愛してるって、言ってくれよ

もう一度。一度だけでいいから


「名前、…っ」




ずっと君を愛してた
(いや、違う。)
(今でも君を愛してる)






たとえそれが屍であったとしても。










10.08.21
………………

トラックに跳ねられた彼女は即死だった。
彼女の位置にいるのが自分だったなら、どんなに良かっただろうか。



効果音を書くのがこんなに恥ずかしいとは思わなかった←
そして、効果音を境に目線が変わります。

京様からのキリリクでマルコで死ネタです!
シチュが帰り道とのことだったので、下校中に交通事故にあうお話です。
いろいろと気になるところがあると思いますが、触れないで下さい。分かってます←
遅くなってしまい、大変申し訳ありませんでした…!

それでは、3333HITありがとうございましたー!!
お持ち帰りは京様のみOKです☆



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