4.離れていても
手紙があれば。愛があれば。 いくら国が違っても、大丈夫……だよね? 『依夜へ 10月ごろになったら、そっちに戻れると思う。 あと、雑誌に写真、少し載せてもらえたんだ。 依夜の分も貰ったから、入れておく。 広輝』 ポストに入っていたエアメール。 たった3行の文章。 どうして私は、彼の留学に着いていかなかったんだろう。 何度思ったか知れない。 日本は今暑い暑い8月。 ねえ広輝。私待つよ、待ってるよ。 …………せめて、約束の言葉が欲しかった。 やるせない思いで、雑誌と手紙を抱きしめた。 どれだけ短い文章だって、あなたに会えない私には最高の宝物。 どれだけ短い文章だって、あなたのこと大好きな私には憎めない。 |