伍
「…あ…」
そういえば千景さんが何か言ってたな。
確か、”彼”が君を監視できる状態の時はもしそこに何かあったとしてもそれを隠すかもしれない。彼が少しでも目を逸らすタイミングも調べておいたほうがいいだとか。
(そんなこと言われても…)
視線を感じない場所と言ったらあの結界が張ってある自室しかないし…あの御札を持ちだそうかと考えたけど動かしちゃ駄目な気がする。
その他の部屋だと必ず視線を感じる。感じなかった時なんて無い。きっと彼は私の行動時間はずっと隙を見せてはくれないのだろう。だとしたら私が寝ている時間…深夜。
(深夜って一番霊力とか強くなる時間帯なんじゃ…)
そもそも”彼”の視野というのはどうなっているのだろう。
屋敷全体を一気に見ることが出来るのか、それとも私が移動している場所しか見ることが出来ないのか…。前者だったら積む。
(とりあえず塩持って行こう)
時間は2時過ぎ。ちょうど丑三つ時の時間帯である。懐中電灯と塩を持って準備は万端……なはず。
自室から静かに音を経てずに出た。驚くことに視線は感じない。こ、これはビンゴか?
いや、しかし油断は出来ない。こんな真っ暗で周りも少ししか見えない状態でいきなり襲われでもしたらデッドエンドだ。
忍者にでもなった気分になりながらのそのそと書斎へと向かった。
(暗くてよく見えないけど…)
懐中電灯を駆使して本を確認していくのがこれまた難しい。
(…?あ、でも何か文字が赤くなってる…?)
先ほどではわからなかったが、文字が赤く浮き出しているように見える。
(…霧之島屋敷殺人事件…?)
その屋敷は昭和49年にある一家と、女の子が強盗によって殺害されたというもの。内容は無残だった。
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