……本当に?
もし遺骨があったとしてそれをどうする…?燃やして灰にする?
彼が姿を見せられない原因は?もし実体化してしまったら…そう思ったらゾクッと背筋が凍った。
今は私に干渉できないからせめてもとこの屋敷に繋ぎ止めてるのだとしたら?いつかは彼は姿を表わすのではないか?



(時間の…問題)

ゆっくり考えてなんて居られなくなってきた。




それからして数日、掲示板で教えてくれてくれた人たちは何か助かる方法がないか探してくれていた。ホント、ネットだからって侮っちゃいけないというか、嬉しかった。

御札を知っていた彼とはメールするほどになっていて、閉じ込められている私を酷く心配してくれているようだった。
彼は千景というある神社の代を継ぐ宮司だった。だからあんなにも詳しかったのだろう。
彼が言うには、この屋敷には長く留まれば留まるほど逃げられる可能性は低くなると言う。今はまだ初期段階、邪神が段々と力を取り戻せば脱出方法が無くなるらしい。
そして私の記憶は断片となってこの屋敷のどこかに必ずあるという。記憶から辿れば、私が誰なのか、この屋敷は私と一体どういう関係にあるのか、ここはどこで、閉じ込めている人は誰なのか…思い出せるかもしれない。



さっそく探索を始めた。

見ている”彼”だって、私がこう動くのを予測していないわけではないだろう。想定内のはずだ。
何よりも思い出そうとすると彼はそれを阻止する。ということはそこに断片が落ちている可能性が高い。
階段を上がっていると、上に付いているシャンデリアがゆらりゆらりと不気味に揺れ始めた。一体何をしているんだい?ってこちらを興味深く観察してるみたいだけど…。

彼の声は地下でしか聞こえない。地下に彼の関係するものがあるからか、力がまだ弱いからかはわからないけれど。だからそっと耳をすませば、地下から少し音が聞こえる気がした。でも正直言って聞きたくない。当たり前だけど。

私は一番手がかりがありそうな書斎へと足を踏み入れた。

本を読むのはあまり好きではないから、今まで手をつけないでいたけど、もしかしたら本の間に何か挟まってたりだとか、何か手掛かりになるような事が書いてあるのかも…

パラパラと分厚い本を捲ってみるが特に役に立ちそうなことは書いてない。
小難しい事ばっかりだ、医学本だとか生物学とか法律なんちゃらだとか。
結局何も見つからなかった。ここはフラグ的にページペラペラ捲ってたら写真だとか紙一枚出てくる場面だろ!





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