参
「私が…世間では行方不明…?」
どうやら一年前から私は行方不明となっており、警察も捜査したが現在は迷宮入りになりかけているという。
そんなの、こんな屋敷に居るのだから探そうと見つかりっこない。けど、この屋敷は一体どこにあるのだろう。日本にはあるはずだ。
その後、色々と調べてくれて私が行方不明状態というのと、その屋敷はかなりヤバイ類の心霊現象を起こしてる…らしい。こんなはっきりとした心霊現象なんて実態のない幽霊が出来るのだろうか。
証拠として屋敷を写真で撮りたかったけど、自室を出て撮るのは難しい。とりあえず、この箱に入っている御札が何なのか写真を撮って聞いてみることにした。
『この御札なんですけど、誰か知ってる方いらっしゃいませんか?自室に居る時だけこの御札に守られてるんです…、でも時間が経てば経つほど黒くなってきて…今日はそれがものすごく早いんです』
『俺知らねえけど、やっぱ悪霊とか祓う札なんじゃね?』
『そりゃそうだろwww俺もそういうの視える類の人間だけどこんなのは見たことねえな』
『俺、知ってるよ。この札』
「え…っ」
思わず声が出た。
『俺さ、家が神社だからこういうのまあまあ詳しいんだけど、この札多分悪霊にとっては最も殺傷能力があって、結界も相当強い怨念持ってる悪霊でも破れない札だよ。何年も掛けて天照大御神に祈願、供物与えて、聖水を毎日染み込ませて作ったのがこの札。しかも成功する確率かなり少ないやつ。それがそんな短時間で黒くなるってことは、悪霊というよりも…邪神の可能性がある』
邪神……?
『同じ神様の類さ、でも神は神でも悪行をする神ね。まあ、神なんて居ないって思うだろうけど、人間ならありえるだろ?』
死んだ人間の仕業とも考えられる。まだ骨が残っていたり、遺品が残っていたりするのかもな。と言っていた。
札が半分以上黒く侵食しているため、一旦自室を出て庭へと向かう。その途中、いつも以上にどこからか視線を多く感じた。とても気味が悪い。
庭から外に繋がる大きな門は大きな薔薇によって塞がれており、とても開けそうにない。あらゆる脱出口は薔薇によって塞がれて、最初は怪我してでも脱出しようとしたけど薔薇が私の動きを封じた。まるで薔薇に意志があるかのように。
庭のベンチに座り、晴れていない空を見上げた。ここはいつもそう、晴れたことなんてない。見たことがなかった。いつも暗くて、日なんて差し込んでこない。
これも”邪神”とかいう仕業なのだろうか。
きっとこの屋敷の持ち主の遺骨が地下にあるんだ。だから鮮明に男の人の声が聞こえて、私を止めた。
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