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「どうしたの?」
「え…?あっ、いや…なんでもないです。ありがとうございます」


何だコイツは。

顔には出さなかったけど、明らかにこの人の目瞳孔開いててものすごく怖い。

まるで殺人鬼じゃないか、人を殺せるような目をしている。そんな事わからないと思いきやわかるのだ。近所で殺人事件が起きる前に、犯人の顔を見て今と同じ感覚だったのを思い出した。コイツはやばい奴だ。

どうやら恐怖で足が竦んでしまったらしい。しかし声は震えていなかったらしく、不審には思われなかった。ここでは、もしかしたらこういう奴がうじゃうじゃ居て、それが普通なのかもしれない。そう思うと私はここで死ぬのでは?と悟りを開く。

その人の手を本当は取りたくなかったけど流れ的にまずかったので、助けていただいた。



「大丈夫?ドジっ子なんだね〜さっきから見てたけど迷子?」


これはまずいぞ、ここで迷子と頷いて、じゃあ違うところから来た一般人なんだみたいな事を言われたら私はここの情報をうっかり漏洩しないように捕まるか、殺されるかどちらかじゃないか!

「そうなんです、方向音痴で…ここら辺でバーとかってありませんでしたっけ?」

私結構賭けたよ、これで無いとか言われたら私はもうどうしようもないぞ。

その男は開いている瞳孔をもっと細くして、ああ!と笑った。


「それってTWILIGHTの事?」

何それ宵闇!?
迷うとマズイのでコクコクと頷いた。大丈夫だろうか、悪化してないだろうか…この状況。


「何だ、じゃあ途中まで道一緒だから案内してあげるよ。本当に方向音痴なんだね?キミが今来た通り道にあったのにさ」

「マジで!?…あ、いや…すみません、あったんですね…全然見てませんでした」

「あはははははは」
その男は可笑しそうに腹を抱えて笑い出して目には涙を溜めていた。そんなに可笑しかった発言か…?

挙動不審になる私がまたツボッたのか、その男は笑いが収まりそうになったところでまた大爆笑する。
殺伐とした街中に高らかとした狂気を感じさせる笑い声が響き、周りの人達も思わず身を引いた。うん…この男、この街でも相当浮いてて危ない奴なんだろうな…と私は生命をもう諦めていたせいか、頭は冷静だった。




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