27
その後、時間が少しあったがきっと迷うだろうと思い、そのまま目的地に寄り道せず向かった。迷った時間も入れなければきっと間に合わない。それに、遅れた時相手がどんな反応をするか怖い…というのが一番の理由である。きっとこれを届ける相手はピサロさんと同じ殺戮街の住人…そんな人が待っているというのに遅れでもしたら…と思うと背筋が凍る思いだ。
商店街にはやたらとたこ焼き屋やらお好み焼き屋やらがズラリと並んでいた。流石大阪だ、派手な服を着たおばちゃんなどが店員に値引きをしている。
そういえばこっちでは値引き交渉が普通だったな。私は別に十分に安いからいいやと値引きなどせず買っているが、こちらでは安かろうがとにかく値引きらしい。店員さんも大変だな。
たこ焼きの香ばしい香りが食欲をそそり、お腹が鳴ってしまった。そういえばもう昼を過ぎていたな。
「たこ焼き食べるか」
こんな囲まれるようにたこ焼き屋あったらこれはもう食べるしか選択はない。
誘惑に負けて、たこ焼きを買って、はふはふしながら食べ移動する。やはり場所は目立たない路地裏。こんな治安が悪い繁華街の路地裏なんてやはり最初から私を殺すつもりなのでは…?と不安になるのも致し方ない。
ここの繁華街はヤクザが多いのだ。大阪はどこもヤクザが居るだろうと思いがちだが、案外他の繁華街には少なかったりする。この繁華街に集中しているのだ。本当に何故この繁華街を選んだのか。
もしかしたら裏社会での交渉とか取引だとか行われている主な場所なのかもしれない。これから会う相手はピサロさんが言うに、とても強い人だそうだ。彼が強いと認めるならばそれは、相当な強者だろうが。
だけれども心配だと眉を下げる。そう考えつつもたこ焼きを食べる手は止まらない。こういう危機感がないから私はダメなんだと思う。
目的地であろう路地裏へと足を進めた。しかし、その場所には誰も居ない。というか、ここが本当に目的地なのかと再び渡された紙を見つつ、周りを確認する。
周りは大きなビルに囲まれており、近くにドラム缶や自販機があった。いかにも典型的な路地裏と言えよう。しかし、地図だとここに大きなビルなんて無い。やはり場所を間違えたか…と引き返そうとし、前を向いて固まった。
「おい、足りねえんだよ。報酬は指定した通りに持ってこいと言ったはずだぜ?」
「今回の依頼はその報酬に見合っていない。上げすぎだ、だからこちらから変更させてもらったまでだ」
「舐めてんのかてめぇ、約束を守らねえんならここで殺すぞ」
(……Oh)
戻ろうとすれば、多分話しの内容的にヤクザだろう。黒ずくめの男2人が裏路地へと歩いてきて、そこで喧嘩をおっ始めた。私はあそこを通らなくては元の道へと戻れない。嫌な予感は元々していたけれど、死亡フラグが立ってしまった。
「殺す…?いいだろう、じゃあ殺してみろ。出来るのならな」
「…ッ…この…!」
あの青髪にメッシュが入ったお兄さんものすごく余裕だ。目でわかる。全くに相手にしてないということが。
「おい、どうした!!」
声の大きさで周りに伝わったのか、相手の仲間たちがぞろぞろと路地裏へと入り込んでくる。ざっと20人くらいだろうか。
どうしよう、もう私出れないんですけど。