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何故こんな町並みなのかは知らないが、いつまでもこんなところに居たら本当に頭がおかしくなってしまいそうだ。
それに、ピサロさんは一体何者なのだろうか…わからない。教えてくれそうな雰囲気でもなかったし、聞いても話を反らしそうだ。只者ではないことだけはわかるのだが。


「明日…バイト頑張ろ」

明日些かバイトとは思えない配達仕事をやってからにしよう。しばらく様子見だ。
この街のこともよく知らないし、無知のまま自分勝手に行動するのは危険だろう。何せ、犯罪者の街と呼ばれる場所なのだから。

ふかふかのベッドのせいか、瞼が自然と重くなる。…眠い。
私はそのまま、深い眠りへと落ちた。




翌日、私は余程疲れていたのか8時まで爆睡していた。確か大阪の集合時間は16時だったはず…!

私は急いでベッドから起き上がると、シーツをきちんと畳み、ピサロさんが居るであろうリビングへと向かう。




「ピサちゃん…おはよう…ん?」

リビングへと入れば、ピサロさんは居なかった。まだ仕事なのかな…。

どうすればいいものかと立ち尽くしていると、後ろからメイドさんがやってきて朝食の準備が出来ていると教えてくれた。ああ、そう言えば朝食までご馳走してくれるんだっけ…。
ピサロさんにもメイドさんにも迷惑掛けっぱなしだなあ…と罪悪感を感じた。


「あの、ピサロさんは…?」

「ご主人様でしたら、寝室でお休みになられていますよ。あの方はいつも10時くらいでないと起床なされないので…」

どうやらピサロさんは私と同じ爆睡型らしく、決まった時間でなければ起きないらしい。ちなみに、低血圧ではないそうだ。呼びかければすぐ起きるとのこと。寝起きはいいらしい。なんか面白い人だな。


起こしてきてはいかがですか?とメイドさんはクスクスと笑っていたが、ピサロさんも大分疲れてるみたいだし、起こすのはやめておこうかなと思う。
別に大阪はそんなに遠くないし、パパッと行ってパパッと戻ってこよう…。ん…?待てよ…

「この街から1人でどう出るんだ…?」

殺人鬼たちが多く潜むこの街を抜けださなければいけないのではないかと今更になって気付く。確か、TWILIGHTからそう遠く離れていなかったはずだし、ここは殺戮街エリアに入っているだろう。それに前通ってきた抜け道の周りには危ない人達がたくさん居たし、大阪に行く前にこの殺戮街からどう出るかがまず問題ではないのか…?

ピサロさんの手を借りるか…?いや、でもこれは私に任されたお仕事なのだからそれをくれた本人に手伝ってもらうわけにはいかない…。



どうしたものか…と悩んでいると、メイドさんが手に何かを持って私のところまでやってきては、それを差し出した。

「これは…?」

「仮面でございます。殺戮街にいらっしゃる間はこの仮面をつけておけばご心配する必要はないかと」

ああ、確かに変なゴロツキみたいなのとピサロさんとか蛇穴さんとか以外は仮面をつけていたかもしれない。きっと蛇穴さんもレベル5なんだろうな…だからあんなに周りからも恐れられていたのだろう。ピサロさんが唐突に現れてTWILIGHTの人たちそれよりも何倍もビビっていたけど、レベルとしてはピサロさんの方が上か…。

「それと…セキュリティがあるとか…聞いたんですけど」

「ええ、通常…この殺戮街に入るのには通過許可パスポートが必要です」

今まで殺戮街が政府や警察にバレていないのもこのセキュリティのお陰だという。
それにこの街に来るまでにはかなり道が入り組んでおり、一般人はほぼ通らないし警察だってわからないような複雑区域だ。怪しいと思うことすらない。
そんな場所に正面からではなく、まさかの抜け道から迷い込んでしまった私はある意味奇跡なのだろう。自分でも何故あんな道を通ったのかわからない。





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