18 殺戮街
「バイトやめちゃいなよォ」
「はい?」
何言ってんのこの人!
私がバイト辞めたら死ぬんだけど…!借金まみれになるんだけど!!
「ピサちゃんは私を借金地獄に落としたいの…?」
「ん〜?あァ、それも面白そうだねェ!」
おい!!
冗談だよォ〜とケラケラ笑うピサロに私はため息を吐いた。この人の冗談は冗談に聞こえないから怖い。
「だからねェ、バイト辞めたらって」
「なんでやめなきゃいけないの?主旨を言ってよ」
「あァ!そうだったァ!あひゃひゃ、ごっめぇ〜ん」
何だこの謝り方殴りてぇ
殴ったら計り知れない返り討ちになりそうだからやめておくけど…。
「助手の仕事あげるヨ。肩書きじゃなくて、本当にお仕事あげる。そうしたらバイトしなくて済むでしょう?」
助手の仕事…これだけ聞けば、やりがいのありそうな仕事だと思うだろう。しかしだ、ここは殺戮街…犯罪者が住む街である。そんなところの、ましては得体のしれない仕事場での助手なんて…はい、やりますだなんて誰が思うだろうか。危ない仕事に決まっている。この人の事だ、人を殺したりする仕事なのだろう。そこのサポーターだと…?処理か、死体の処理か?
「もしかして仕事内容気にしてるゥ?あひゃひゃ、心配ないさ。簡単だヨ」
その言葉を果たして信じていいのだろうか…。不安だ。
ピサちゃんが言うには、私にも簡単に出来るお仕事だと言う。女の子にハードなお仕事なんてさせるわけないでしょう?なんて紳士的な事を言っているが、今させなくても後々させそうだから不安なのである。きっと、そのうちハードな仕事を押し付けるに決まっている。
「ハードな仕事はねェ、キミがやりたいのならやらせてあげる」
この街には依頼書というのがあるらしく、そのランクもあるらしい。
一番低くてE。一番上でSらしい。
そして依頼だけにランクは設けておらず、本人にも殺戮(インサイド)レベルというのがあり、一番低くて0。最高は5という。ちなみにピサロさんは最高のレベル5で、依頼もランクSをいつも受けているらしい。
一番上というのがどんな仕事か聞いてみた。
「う〜ん…そうだねェ…大統領暗殺とか…?そんな依頼なかなか来ないけどねェ」
悪〜い大統領さんじゃないとなかなか殺さないかもォ〜とか平然とした表情で言っており、私は聞かなければよかったと心底思った。
殺戮街はそんな事までしているのか…恐ろしい。
普通は犯罪者同士の狩り合いだとか、裏社会の掃除。目立たないところで動いているらしい。なので、大統領暗殺といった派手な依頼は最高ランクだと言う。