17
内心考えている凛子の様子を伺いつつ、コーヒーを静かに飲むピサロ。
ふと私は思い出した。
「あの、電話いいかな…?」
「どうして?」
別に通報だとか、疑っているだとかではない。単に用事。
私の家はペットが居る。
学校に行っている間はペットホテルで預けている。その分、かなり費用が掛かるわけだが…食事を朝と夜のみの動物は預けず、家に待機させているのだ。犬一匹と猫一匹。鳥もいる。何故この状態になったのかと言えば、捨てて放置してあったりだとか、傷ついていたりだとか、理由は様々だ。購入したのではない。
傷ついているのに関しては、完治し次第、野生に帰すつもりでいる。こんな感じで、本当は家を開けるなど決してあってはならないのだが…そのためにいつもお世話になっているペットホテルへ連絡し、家に居る動物たちを預けられたら…と思ったのだ。普通ではそんなサービスは行っていないが、汚い言い方をすればもはや常連であるため、ある程度の事は引き受けてくれるのだ。
何にせよ、このままにするわけにはいかない。ペットホテルがダメだったら無理言って帰らせてもらおう。
ピサロに事情を話せば、なるほどと頷いてそれから、こっちに連れてきちゃえば?と言ってきた。
「いやいや、結構居るんだよ?いくらピサちゃんの家が大きいからってそれは駄目だよ」
「なんでェ?別にいいけど?餌ならメイドに言っておけばやってくれるし、お金も掛からなくて済むでショ…というか今までお金どうしてたの?」
全部じゃないとはいえ、動物たちをペットホテルに預けるには莫大な金額を要する。それに私は一人暮らしだ。そんなお金は当然、懐から出てくるわけなんて無い。好きなものも買わず、必要最低限の生活で、バイトを毎日入れていた。そうすれば、ギリギリではあるが、何とか賄っていけたのだ。
…今日バイト休んじゃったからどうしようか凄く悩みどころではあるけど…。
「バイトねェ…」
ピサロは何かを考えるように顎に手を添えて唸るように首を捻った。そして凛燕を見て徐ろにとんでもない事を言ってのけた。