MerryXmas!!のオマケです。





『メリークリスマス!』

その声と同時にパン、と乾いた音が響く。
宙を舞う色とりどりの紙吹雪とキラキラと輝くテープ。
カラフルに飾り付けられたモミの木に、テーブルの上には有りっ丈のご馳走。
そして二人のちびっ子の頭には先の尖った三角形の帽子。


「イザヤ!もう食べて良いの?」

いつも以上にはしゃいだ声でこちらに尋ねてくる声にチラリともう一人の小さな子供にも視線を向ければ待ちきれない、と言った様子でフォークを握り締め真っ直ぐに向けられる空色の瞳。
そんな二人につい堪えきれず笑ってしまいながら頷きを返し、小皿に料理を取り分け並べてやる。

『いただきます!』

再び重なった声を聞きつつ目の前で自分の分が取り分けられるのを待つ金髪にも料理を差し出す。

「…いただきます。」

すでに食べ始めている二人に倣って両手を合わせ律儀に挨拶をする相手と同じく手を合わせ、いただきます。と呟いて漸く4人揃って食事を始めた。

あらかたの料理が胃袋へと消え、テーブルの上が寂しくなって来たところで冷蔵庫からケーキを取り出し中央に置く。
サンタやトナカイの飾りが乗った大きなそれを切り分け目の前へと置き、二人用にと買ってきたシャンメリーをグラスに注げば先程までの満腹そうな表情は無くなりキラキラとした視線がケーキへと向けられる。

「すごいね、つがる。ケーキおっきいね!」

「サイケの顔より大きいな、すごい。」

予想していた以上に嬉しそうな反応を返してくれる二人にこちらまで頬が緩んでしまう。

「今日はクリスマスだから特別大きいケーキにしたんだよ。食べきれなかったら明日、またおやつに出してあげるから。」

そんなやり取りがあり、はしゃぎ過ぎたせいか満腹になったからか
ケーキを食べ終えるとすぐに欠伸をし始めた二人をパジャマに着替えさせ寝支度をさせ、普段はサイケが使う寝室のベッドへと連れて行く。

「臨也、サンタさんはいつ来るんだ?」

「そうだな…津軽とサイケが寝たら来るよ。だからほら、早く寝な。もう瞼くっつきそうなんだから我慢しない。」

肩まで布団を掛けてやればぬくぬくとしたお互いの体温のお陰かすぐに二人揃って寝息を立て始めた。
そっと寝室を後にしてリビングへと戻ると真っ赤な服に身を包む見知った姿。

「…なぁ、アイツ等寝てんだからサンタの格好する意味なくねぇか?」

「うん、それ俺も思った。でもまあ、良いんじゃない?折角のクリスマスなんだし。」

相手が手にしていた帽子をヒョイと取り上げ自分の頭に乗せると一歩足を踏み出し距離を詰める。

「メリークリスマス、サンタさん。サイケと津軽へのプレゼントを置いたらキッチンに行ってみると良い、今日1日頑張ってくれたサンタさんへ俺からのクリスマスプレゼントがあるから。それじゃあ、おやすみ。」

つらつらと一方的に言葉を並べ、相手から反応がある前にかぶっていた帽子を痛んだ金髪に乗せるともう一つの寝室へと向かった。
自分自身もパジャマへと着替えベッドの布団を捲ると見覚えの無い小さな箱が一つ。
添えられたカードには、丁寧に書かれたMerryXmasの文字。

「…、…バッカだなぁ…安月給の癖に。」

「誰が安月給だ、俺は普通だっつーの。」

後ろから掛けられた声に振り返ると未だサンタの格好のままドアを閉める相手の姿。

「あー……プレゼント、ありがとな。」

自分が用意したプレゼントを大事そうに抱える相手に急に恥ずかしさが込み上げ、何も言えずあちこちに視線をさ迷わせていると
段々と距離が近付き、プレゼントを持っていない腕で体を密着させるように抱き竦められる。

「一緒に過ごしてくれてありがとよ、すげー幸せ。」

それはこっちの台詞だ、なんてバカップルみたいな言葉が言える筈も無いので
とりあえず、両手を背中に回してこちらからもキツく相手を抱き締めてみた。


Happy Xmas!!


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