臨也の奴は泣く時に声を出さない
無表情のまま静かにぽろぽろと涙を零すのだ。

「ねぇシズちゃん、俺は悲しくて泣いてるわけじゃないんだ。」

胡座を掻いた俺の脚の間に背を向けて座りながら、声を震わせることもなく静かな声で俺に言葉を向ける。
じゃあ何で泣いてるんだよ、と聞けばきっとその何の色もない表情のまま淡々と言葉を返されるだろう。
そんなアイツを見るのが嫌で、黙ってその華奢な身体を抱き締めれば振り返るようにして視線がこちらへと向けられた。

「怖いんだ、何もかもが。」

「どれだけ綺麗に生きようが、汚く生きようが、死は訪れる。」

「それってさ、怖いだろ?」

「俺の愛した、色々な、様々な人間たちが、死んでいくのが怖い。」


バカなことを考えて泣くんだな、思った通り正直にそう言えば普段とは違う笑みを浮かべてそうだね、とアイツは頷いた。

「でもね、君は俺が愛しているモノじゃないから、死んだって泣かないよ。」

その笑顔のままハッキリと告げられる言葉。いつの間にか涙は止まったらしい。

「君が死んだら、笑ってあげる。」

「君が大嫌いな笑顔で看取ってあげるよ。」

それは嫌だな、と独り言のように呟けばじゃあ死なないでよ、と小さな声で返された。


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