※スパコン←ルカのような



近頃常々思うのは、スパーダとコンウェイの距離が近いな、ということだ。
雰囲気も全体的に近いのだが、特に物理的距離がとことん近い。
例えば今。
大通りを歩いていて皆がバラけて各々の買い物やら何やらを楽しんでいるにも関わらず、二人は並んで街並みを見てまわっている。隣を歩く分には何も問題はないのだろうが、いかんせん距離が近い。彼らの間の距離は一体何センチだろう。10もあるだろうか。
しかしこんなことは日常茶飯事でありただの一例であって、他にもコンウェイが戦闘で怪我を負ったスパーダに真っ先に駆け寄ったり、コンウェイの重そうな荷物をさりげなくスパーダが持ったり。一番驚いたのは峠でコンウェイが靴擦れをしたらしく、しかし彼はいつも通りのポーカーフェイスだったものだから誰も気づかなかったのだけれど、スパーダだけは気づいたのだ。そして何のためらいもなくコンウェイを抱き上げて、コンウェイはコンウェイで「目敏いね」なんて言いながらも抵抗しないしで、僕を含め皆はぽかんとして二人のやり取りを見ていた。
思い返すだけでもやはり近い。スパーダと僕は親友だけど、あの二人の距離はそういうのじゃなくて、なんだかもっと近くて甘美なもののような気がするのだ。





「コンウェイは、スパーダのことどう思ってるの?」

宿屋でたまたま同室になった。長い旅をしてきたし、誰彼と一緒の部屋じゃなきゃ嫌だ、なんてことはない。女性陣は「イリアのいびきがうるさい」だとかなんだかでいつももめているけれど、僕たちはいつも通りの即席のくじ引きをして部屋割りを決めた。しかしながらこのくじ引きも不思議なことに、スパーダとコンウェイが同室になることが多い。そして彼らの部屋だけ僕らの部屋から離れた場所になることも。
コンウェイは読んでいた本をぱたんと閉じて目線をこちらに向けた。
少し細められたアメジストの瞳はなんだか楽しそうだった。

「気になる?」
「それは…その、やっぱり僕たち仲間だし、どう思ってるのかなって…」
「ルカくん」
「な、なに?」
「気になるのはボクたちの関係?」

やっぱりだ。この瞳はきっとなにもかも見透かしている。嘘もごまかしも効かない。

「…うん」
「ふふ、何も面白いことはないよ」
「最近二人が仲良いなって思って…」
「ボクも、スパーダくんのこと嫌いじゃないしそんな邪険にしたりしないよ」
「嫌いじゃないってことは好きでもないの?」
「何もそうとは言ってないさ。むしろ彼のことは大好きなくらいさ」

くすりと笑うコンウェイはやはり同性から見てもとても綺麗で。

「女の人大好きでも?」
「思春期だから仕方ないんじゃないかな」
「じゃ、じゃあ僕のことは…?」

咄嗟に言葉が出た。目をまんまるにしてきょとんとしているコンウェイを目の前に僕は佇んでいる。なんて間抜けなんだろう。何を言って欲しいんだろう。
彼がスパーダに対してそう言ったように「大好き」だと言って欲しいのだろうか。

「…そうだね、ルカくんのことは」
「…うん」
「大好きだし、大切だ」

きっとこの言葉は、この「好き」は僕に対してとスパーダに対してでは意味合いが全く違うのだろう。得体のしれないもやもやした気持ちに苛まれる。

「…そっか。ありがとう」

ちょっと出かけてくるね、なんてありがちな言い訳と共に、顔には笑みを貼り付けて部屋を出た。






「大好き、か」

部屋に一人残されたコンウェイは先ほどのルカの言葉を反芻する。きっと聡い彼のことだ、とっくにボクとスパーダくんの仲は感づいていて、そこからきた言葉なのだろう。

「ごめんね」

今は部屋にいないルカに贈るのは謝罪の言葉。キミはこの旅に必要な人間なんだ。そんなキミが大切なのは至極当然のことで、そもそもスパーダくんとは「好き」のベクトルが違ったんだ。
恋しいのはあの眩しいくらいの緑だった。





130424 いい加減アホなくらいラブラブなスパコンが書きたい
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