風の通り道 | ナノ



きっと其れは夢に違いなく。

仮面について、と。途方もない事を考えるせいなのか。
それとも、俺の仮面の事も、考えるせいだろうか。

俺の頭の中は、酷くとっちらかっていた。
辞書は戸棚から床に落ちて。日記もあちらこちら。大事そうな紙が散らばって。
俺の見てる世界なんだから、どうにか、自分で片付けねばならなくて。

あぁ、なのに、息が出来ない。
こんな調子ではいけないのに。
俺は立って、ただ真っ直ぐに、前を見据えて

頑張って頑張って頑張って

上手く息が出来なくて、咳き込む。
気持ち悪い。
そのまま吐き出すけれど、何も出てこない。酸っぱいものがせり上がるだけ。
口を抑える、
嗚呼。なんて言われたっけ、こんな時に。
吐けって、言われた気がするのに。
弱音しか出てこないんだ。
それじゃあ駄目で、いけなくて、
   あぁ、だめだ  こんな 弱いのを。
嫌われてしまう。

いやだ
こわい

怖い。 怖い。   怖い。





こんな


怖いなんて思ってる俺が
心底キライで。左手が痛い。
怪我をしていないのに。仮面を被り直す度にズキズキと痛む。
それは徐々左腕の痛みになって。

きもちわるくてきもちわるくて。


いつの間にか持ってたナイフで、刺した


何度も

何度も
刺す度に花が散った

温かいものが流れて


その温度に安心して

けれど消えぬ痛みに、汚れて切れ味が悪くなったものを振りかざして












―――――――目が覚めると、ぬるりと額を垂れるものがあった。
なんのことはない、ただの汗は。
それでも痛みと息苦しさを拭ってはくれず。




さて、あれは本当に夢だったのか。
自分で痕も残さず、魔法をかけたのではないか。

それすら俺には

わからなくて
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2013/08/27 (05:12)


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