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見上げた空がぴかりと光った。
―何だ、また猫はないているのか?
そう声が聞こえた気がして空に向かって翳した手のひらに、待ちわびていたように、ポツリ、ポツリ、と滴が落ちる。
雨が涙みたいに落ちてくるけど目頭はそれほど熱くない。
毎日忙しすぎて泣く暇がないなんて、そんなの嘘っぱちだ。
本当は毎日寂しい。
ううん、寂しくなんかない。
言っていて、どこからが嘘で、どこまでが本当なのか、どれもあべこべで、そんなのはよくわからないけど、ちゃんと大事なところだけは忘れない。
馬鹿だけど、馬鹿だから、わかってるから。
りーちゃんともーちゃんが教えてくれたもんね。
だから空が光って、ハルオがそばにいる気がしたら、そんな時は、
『私は元気だよ、泣いてないよ』って空に手を翳して返事を返すんだ。
走るのは得意だから。
走り抜けておばあちゃん猫になった時、その時は目一杯ハルオの足元で甘えるんだ。
ほら、また空が光った。
「…にゃー」
***
2012/03/14
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