▽雷鳴
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見上げた空がぴかりと光った。

―何だ、また猫はないているのか?

そう声が聞こえた気がして空に向かって翳した手のひらに、待ちわびていたように、ポツリ、ポツリ、と滴が落ちる。

雨が涙みたいに落ちてくるけど目頭はそれほど熱くない。

毎日忙しすぎて泣く暇がないなんて、そんなの嘘っぱちだ。

本当は毎日寂しい。

ううん、寂しくなんかない。

言っていて、どこからが嘘で、どこまでが本当なのか、どれもあべこべで、そんなのはよくわからないけど、ちゃんと大事なところだけは忘れない。

馬鹿だけど、馬鹿だから、わかってるから。

りーちゃんともーちゃんが教えてくれたもんね。

だから空が光って、ハルオがそばにいる気がしたら、そんな時は、

『私は元気だよ、泣いてないよ』って空に手を翳して返事を返すんだ。

走るのは得意だから。

走り抜けておばあちゃん猫になった時、その時は目一杯ハルオの足元で甘えるんだ。

ほら、また空が光った。

「…にゃー」

***
2012/03/14

 

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