学生にしては大人びた買い物だったかもしれない。
母の買い物に付いて、自分一人じゃ立ち寄る事のない
コスメカウンターで見つけた真っ赤なルージュ。
「新作の色なんですよ。リップ以外にも、ちょっとぼかしてチークにしたり...」
スッキリとしたシニヨンヘアにぱっちりとした目元が印象の店員が説明をしてくれた。
「お肌がとても白いので映えますよ、赤色」
そう言われて店員の方へと顔を向けると、美しい笑顔があった。
口元には同じ色が艶を帯びている。
「それが欲しいの?」
「うん、でも自分で買う」
「あら、そう。珍しいわね」
いつも一緒の会計にしてもらっていたけど、何となくこれは自分で買いたい。
翌日、学校が休みだったので買ったルージュを少し控えめにつけた。
「あ、おーいname!」
ノクトの家へ行くのに、待ち合わせていたプロンプトは一足先に着いていた。
「お待たせ」
「ちょっと前に来たばっかりだよ。あれ?いつもと雰囲気なんか違う!」
意外に良く見ているものだと、驚いた。
んー、と言いながらまじまじと自分を見つめるスカイブルーの瞳はガラス玉のようだ。
「あ、リップ!新しいでしょ」
「すごいね、気づいたんだ」
「うん、良い色だねnameに良く似合ってると思う」
普段からプロンプトは良く褒めてくれるが、改めて言われると照れ臭い。
「ふふっ!ありがとう...女性はこういうのいち早く気付くけど、男の人って気づかないかなって思ってた。気づいても、言葉にすること少なそうだなって。だから言ってくれるの嬉しい」
「そう思ってくれてたんだ?」
「え?」
歩みが止まり、隣に居たプロンプトが真剣な眼差しで正面から見つめる。
「俺も一応男だってこと」
「うん、だから...ちょっとドキドキした」
そう伝えるとプロンプトは一瞬驚いた後、頬に手を添えて触れるだけの軽いキスをした。
唇が離れ、鼻と鼻が触れあう距離で見つめ合い二人で照れ笑いを零した。
「プロンプトの口に、ちょっと色が移っちゃった」
そう言って唇に触れると両腕で力強く抱きしめられた。
「めっちゃ嬉しいからこのままでも良い!!」
背伸びをして買ったルージュは、私に少し大胆になる魔法をかけてくれた―。
真っ赤なル−ジュ