ヒーリンでの日々が穏やかに過ぎる。
世界の再建を掲げた神羅にも徐々に人が戻り、集まり
各地区での再建活動にも力が入っている。
nameは、ヒーリンに建設された孤児達の受け入れ施設で日々を過ごしていた。
今日は天気も良いので、川で子供たちと自然観察をしながら遊ぼうと考え下見に。
「きれいな水が流れてきてる。よかった」
裸足になり、川の冷たさを確認するために中に入る。
冷えた水が足に絡み心地よさを感じた次の瞬間、一歩踏み出した時に鋭い痛みが走った。
「いっ・・た〜、廃材だ」
どこからか流れ着いた欠片がnameの足を鋭く切り裂いた。
川から上がり足を見ると見事な切れ具合で血も滴っている。
「どうした」
声がする方を見るとルーファウスが心配そうな顔をして近づいてきた。
「廃材で足を切ってしまって・・」
「見せてみろ」
座っているnameの隣に屈みこみ、足を見るルーファウス。
「深いな、化膿するといけないからすぐに手当をしよう」
立ち上がろうとしたnameを制止してルーファウスは抱え込み素早く持ち上げた。
「ルーファウス・・!いい、大丈夫歩けるから」
「靴を血だらけにするのか?片足を引きずりながらどう歩く。雑菌が入って余計な治療をすることになるぞ。」
「う・・」
しっかりと掴まるように促され、nameはルーファウスの首に両手を回した。
「・・・重い?」
「まぁ、軽くはないな」
そうやって悪戯に笑うルーファウスに、もう!とnameは口を尖らせた。
「大切な命を抱えているんだ。軽いわけがないだろう?」
そう言うと抱える手に力を込めた。
恥ずかしげもなく瞳を見据え、言葉を真っ直ぐに伝えてくるルーファウスに照れながら、nameは首元に顔を埋めた。
細身でしなやかな身体ではあるが、鍛え上げられた筋肉に
改めてルーファウスも男なのだとnameは感じる。
「あー、nameが抱っこされてる〜!どうしたの?」
子どもたちが二人を見つけて駆け寄ってきた。
「nameは足を怪我してしまったから手当をしなくてはいけない」
「王子様とお姫様みたい〜!」
輝く瞳で二人を見上げ言われたこの言葉に、ルーファウスもnameも笑ってしまった。
部屋につき、椅子に下されると手際よくルーファウスは手当てを始めた。
「手際、いいんだね」
「10代の頃、軍の合宿に強制的に参加させられた。一通りのサバイバル術を叩きこまれ一体何の役に立つのかとその時は思っていたが・・・まさか今役立つ時が来るとはな」
その頃を懐かしむようにルーファウスは笑った。
外で子どもたちが遊ぶ声と、鳥のさえずりも聞こえる穏やかな午後。
木々の隙間から木漏れ日が部屋の中を照らす。
包帯のゆるみがないか確認したルーファウスは跪いたままnameを見上げた。
「姫。これからもどうか私にあなたを守らせて欲しい」
陽の光とのコントラストが美しいアイスブルーの瞳には、希望と自信が満ち溢れている。
数々の困難を乗り越えてきた彼には思い描いてる未来を創っていくことが出来るだろう、nameは柔らかい笑顔と共に左手を差し出した。
「喜んで」
視線が交差し笑いあった後、ルーファウスは差し出された左薬指に口づけをした。
部屋をノックする音が聞こえ開けると、子どもたちがお見舞いにと色とりどりの草花をブーケにして持ってきてくれた。
ヒーリンでの穏やかな日々。
子どもたちの未来と共にこの日々が輝いて行くようにとnameは、この先どんなことがあってもルーファウスと歩んでいくことを心に誓った。