Such a lovelyday | ナノ




ほんの一瞬の気の緩みと隙が自分の次の瞬間の命運を決める。

脇腹に鋭い痛みを感じた時には既にその場に倒れこんでいた。

呼吸を整えようにもうまく出来ない。

どれほどの勲章と呼ばれるものが自分の身体に刻まれたのか
確認する余裕すらない。


『――――――!!』

誰かが自分の名を呼び遠くから近づいてくるのはかろうじてわかる。

目に映っていたウータイの美しい夕日が陰り、怠く力が入らなかった身体が宙に浮き楽になるのを感じた。

「name」

「セフィロス・・・」


言葉を発するのもやっとだったが
自分を見つめるその瞳があまりにも悲しい色をしていたので、思わず名前を呼んでしまった。

「ごめん・・・油断・・したね」

「name、もういい。それ以上は喋るな」

救護班と応援を呼べ!という声の後ろにまだ、激しい戦いの音と怒号が混じり合っている。


「大丈夫だ、name」

「ふふっ・・・なんていう顔、してるの」


最後にこうやって抱きしめられたのはいつだったか
心地よい温かさと心音が眠りを誘う。

もう一度視線を上げると
夕陽に照らされた銀髪が風になびき美しい輝きを放ち神々しさすら感じる。
自分の顔に僅かに触れた髪を手で梳いた。


「英雄・・セフィロス・・・か・・」

無意味な殺戮だけを繰り返す人間には『英雄』という賞賛は与えられない。
セフィロスが多くの人から慕われる理由が今、分かった気がした。
どんな困難な任務にも立ち向かい、理知的で冷静で勇敢で強く
そして人間的な優しさを持ち合わせているからだ。


「あなたは・・優しくて強くて・・神様が与えてくれた賜物だね・・・」

「守るべきものがあると人は強くなれる」

意識が遠のく中、セフィロスの手から温かな淡い光が発せられ幾分脇腹の痛みが和らいだ。

どんな状態であっても見捨てずにそっと救いの手を差し伸べる。
セフィロスが上官であることで、心強い気持ちで戦地に赴ける兵士
たちはきっと多いのだろう。

「必ず生きて帰るぞname。共に・・」

nameを抱き上げ、燃え盛る太陽と戦火を背にセフィロスはゆっくりと歩きだした。

「セフィロス・・どうか・・これ以上悲しむ人が増えないように・・救って」

「あぁ。これ以上無駄な血は流させない」




夕陽が全てを覆い尽くしてしまうその前に
全てを終わらせてみせる―――。




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