穏やかな時間
奥の部屋でテレビを見ているゲンガー。かくれんぼをしているゴーストとゴース、ムウマ。フワライドを追いかけるヤミラミとジュペッタ。縁側に座って彼らを見つめる僕。
「暇だなあ…。」
ぽつりと呟いた言葉はゲンガーたちの騒ぐ音に紛れて消えていった。
ここ最近、ジムに挑戦者が来ない。コガネジムのバッジを持たない者はエンジュジムに挑戦することができない。コガネのジムリーダーであるアカネちゃんから連絡が来ていないので、挑戦者はコガネジムで止まっているということになる。
「アカネちゃんのミルタンクに手こずってるんだろうな…。」
呟いた言葉を聞いた一体のゲンガーが突然毛を逆立てて震え始めた。
「ああ、そっか。あのミルタンクとバトルしたのは君だったね。」
一度だけ、僕のところに訪ねてきたアカネちゃんに頼まれて1vs1のバトルをした。ゲンガーvsミルタンク。あのときのバトルは僕たちが勝ったけど、特性きもったまとミルクのみはこの子にトラウマを植えつけたようだ。
ゲンガーが泣きそうな顔で僕の背中に飛びついてきた。衝撃で僕の体は前のめりになったけど、そんなことは気にしないのか背中に顔をぐりぐりと押しつけてくる。手を伸ばして撫でてあげるとぐりぐりするのはやめてくれた。
震えているのに悪いけど、まるでおんぶおばけみたい。ゴーストタイプだから尚更。
そんな僕らを見て何かの遊びだと思ったのか、庭にいたヤミラミとジュペッタがこちらにやってきた。
前から抱きつくジュペッタ。膝の上にいるヤミラミ。それを見たゴースは頭の上に。左右にはゴーストとムウマ。散歩から帰ってきたフワライドが僕らの周りでふわふわ浮かぶ。
ゴーストタイプハーレムな僕。周りから見たら気味が悪いかもしれない。
昔から修行ばかりでこうやってみんなと過ごすことは少なかった。
でも、それでもみんなは一緒にいてくれた。僕から離れないでいてくれた。感謝してもしきれない。
こうやってみんなとのんびり過ごすのも悪くないなあ。アカネちゃんからの連絡もないから、今日はみんなに僕と一緒に過ごしてもらおうかな。