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67.ベッドサイドのまぼろし


デイダラさんが死んだ。サスケと衝突し、最期は自分自身を大爆発させたらしい。たった数日前まで当たり前に言葉を交わしていたはずなのに終わりを迎える時はこんなにも呆気ない。デイダラさんだけじゃない。サソリさん、角都さん、飛段さん。暁に身を置き彼等の優しさに触れ、気がつけば大切な存在になっていた。かけ替えのない大切な繋がりへと。

「道連れですか……」
「感謝するんだな、イタチ。デイダラが命懸けで厄介払いをしてくれたんだ」
「んー。あと何か忘れてるような……」
「トビも死んだみたいだよ。デイダラの奴、見境なく爆発しやがった」
「そうそう、トビでしたか。しかしあの逃げ腰が逃げ遅れるとは……相当大した術だったんですね」
「まあ良い。あの程度の男ならいくらでも補充は利く……デイダラは惜しかったが」
「陰鬱なこの組織の場を和ませる能力ならトビも大した能力者でしたがね」
「俺は行く……せめて静かにデイダラを弔うとしよう。それとなまえ、すぐに俺と合流しろ」
「……はい」

トビさんまで死んだことになっているのなら、いよいよ彼の計画が大きく動き出すのだろう。そうでもなければペインさんが私を呼び寄せることなんてあるわけがないのだから。

「イタチさん、鬼鮫さん、私はリーダーに合流します。四尾も無事に封印し終えたことですし、少しでも身体を休めてください」
「……ああ」
「次から次へとあなたも忙しいですね」
「フフッ、これが私の役目ですから」





─────……人繋ぎには"繋ぎの力"とは別のもう一つの力が存在する。
厳密には繋ぎの力の一部なのだけれど、名前が変わるため私はそう捉えている。それは"結びの力"───相手の魂を預かったり一方的に繋ぐ繋ぎの力とは違い、相互的に作用する。だから結びの力。相手に呼びかけることも出来るし、相手の元へ一瞬で飛ぶことだって出来る。一度結んでしまえば意図的に解かない限りその効果は半永久的に続く。一応、使い方はいくつかあるけれど私はその便利さから主に通信機能に使っていた。

(糸結びの術!)

術の発動と同時にペインさんのチャクラを辿ると目の前の景色が一瞬で切り替わった。雨が降り続ける、木ノ葉とは違う雨隠れの里の景色。

「お待たせしました」
「……来たか」

ペインさんの声でも小南さんの声でもない。やっぱりトビさん、もといマダラさんは当たり前のように生き延びていたのだ。

「話は終わりだ。他のメンバーに残りの人柱力を急がせろ」
「分かっている」
「お前はペインと行動しろ。万が一の場合、お前の力が役に立つだろう」
「はい」
「いよいよだ。我等が目的を達成するのもあと僅か……そうなれば全てが本来の形に戻るのだ。写輪眼の本当の力が……このうちはマダラの力が」

暗くどんよりとした空がゴロゴロと唸り癇癪を起こしたみたいに甲高く鳴き出した。私の記憶が正しければそれはペインさんが意図的に降らせている雨の一部だ。計画の大きな動きを前にして感じるものでもあるのだろうか。

「……なまえ、あいつはああ言ったが万が一にも俺がお前を頼ることはない。だから無理に木ノ葉までついてくるな」
「ペインさんが強いことは分かっています。それでもお供くらいはさせてください。私だって暁なんですから」

アスマ先生を見逃して最後にしようとは思っていた。いつまでも周りの優しさに甘えて中途半端な立場にいてはいけない。トビの仮面を脱ぎ捨てた彼が動き出すと言うのなら尚更だ。例え相手がナルトだったとしても一時の感情に流されて目的を見失ってはいけない。大丈夫。私には"繋ぎの力"があるのだから。

「もちろんペインさんや小南さんのお気遣いはありがたいと思っていますよ」
「……前々から思っていたが、やはりお前はここが似合わないな─────……!」

口元に笑みを浮かべたペインさんが弾かれたように空の彼方へと振り返った。見間違いだったのかと思うほどその表情はひどく険しい。

「どうした?」
「俺の雨を遮る奴がいる。このチャクラの感じ……かなりの使い手だ。小南、俺が雨を上げたらお前の術で侵入者を探せ」
「任せて」
「なまえは指示があるまでここで待機だ」
「分かりました」

行くぞ、とペインさんが印を組み両手を空に掲げたかと思うとあっと言う間に雨が弱まっていく。ポチャッ、と最後の雫が落ちたと同時に小南さんの体が無数の紙へ、そして蝶へと変わり里中へ飛び立っていったのだった。

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