鳴門 | ナノ
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31.


自来也様とナルトが綱手様、もとい新しい五代目火影様を連れて木ノ葉に戻って来た。あれから何日経っても一向に目を覚まさなかったカカシ先生とサスケがやっと目を覚ますんだ───サスケは、少し時間を置こう。誰よりも心配していたのはきっとサクラだろうから、二人きりにしてあげても……うん。まずはカカシ先生のところに行ってみよう───……。

「カカシ先生、こんにちは。えっと、うーん……大丈夫ですか?」
「なまえ? お見舞いに来てくれたんだ。ありがとね」

いつにも増して眠たげな目蓋がゆったりと弧を描いた。起きたばかりなのだろうか。でも、ずっと眠ったままの先生が綱手様が帰って来た途端に目を覚ますなんて。コテツさんやイズモさんが言った通り綱手様は本当にすごい人なんだろうと思う。

「そう言えば、さっきナルトに会ったんです。サスケのところに行く途中みたいだったから、ゆっくり話せなかったけど……『今度、新技見せてやるからな!』って息巻いていました」
「ははっ、そりゃ楽しみだ。何せ、あの自来也様が修行をつけたみたいだからね」

カラカラと上機嫌に笑う先生のように私も上手く笑えただろうか。火影様の遺影を前にした時とはまた違った痛みが胸の奥を突っついた。

「……カカシ先生は本当に楽しそうに話しますね。ナルトだけじゃなくて、サスケやサクラのことも」
「そりゃ教え子の成長は見ていて楽しいよ。もちろん、なまえのこともね。ま! あいつ等と比べてあまり手がかからないのは少し寂しいけどね」

ほんの少し遠くの方を見つめる先生が思い浮かべる未来はきっと明るくて、楽しくて、幸せなのだろう。ナルトやサスケ、サクラがいて、私もいて。イチャイチャパラダイスなんて胡散くさい本を開きながら見守る先生がいて───きっと、そんな未来。

「先生にそう言ってもらえるなんて光栄です。私もとっても楽しみです。ナルトとサスケは顔を合わせる度に喧嘩して、サクラが呆れながら割って入って、それを見ながら微笑むカカシ先生がいて……」

そんな未来は、きっと幸せに違いない。

「……なまえ、何か俺に隠していることはない?」
「それくらいありますよ。いのが言うには、女の子には秘密がつきものらしいですから」
「そう言うことじゃなくてね───、」

コンコンと小鳥が窓を啄く音が先生の言葉を遮った。ゲンマもあの鳥に呼び出されていたから、先生もこれから任務なのだろう。特に先生は他里にも名前が知れ渡るくらい有名らしいから。

「ごめんね? 召集だ」
「ううん。私もそろそろサスケのところに行こうと思っていましたから」
「そっか……ねえ、なまえ。俺じゃなくても良い。ゲンマでも誰でも良いから、一人で抱え込むことだけはしてくれるな」
「フフッ……先生は心配性ですね」

私の周りには少しばかり過保護と言うか、心配性な大人がたくさんいるらしい。でも、私なら大丈夫。だって、私には───……。

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