※七夕ネタの続き
※カイメイ
笹を庭に飾ろう、と言い出したのはリンだった。せっかく晴れたんだからと、笹を出すためだけのハズなのに全員がぞろぞろと表に出た。結局みんな、こういうイベントが好きだ。
「足下、滑るから気を付けて」
『はーい』
カイトは傍らのメイコに言ったつもりだったが、元気よく応えたのは妹達の方で、当の彼女は「大丈夫よ」と切り返しサンダルを突っかける。が、
「きゃっ」
「おっと」
言ったそばからよろめく恋人をとっさに支える。大丈夫? 気遣うと(照れながらとはいえ)素直に感謝され、彼はふ、と微笑った。
双子を追って表に出ると、夜空にはたくさんの小さな光。思わずわぁ、と歓声を上げ、そしてぽつり、呟く。
「会えたかなぁ、織り姫達」
「あんたって本当乙女よね……」
「えぇ!? そうかな……」
不服という訳ではないが、なんとなく釈然としない。彼は頭を掻き、空を仰ぎ見る。
「だってさ、一年に一回しか恋人と会えないんだよ? 会えなかったらまた一年我慢しなきゃいけないんだし……俺には無理だなぁ」
めーちゃんはどう? なんて問い掛けると、彼女は口を引き結んで闇を見つめている。
「……めーちゃん?」
「……別に、カイトが居なくたって平気よ」
「めーちゃ、」
言うだけ言って、彼女はぷいとそっぽを向いてしまった。手を伸ばすと、細い肩が僅かに震えていて。
――ああ、そういうことか。
「大丈夫。もし、そんなことになったとしても」
「やめ……」
「俺がメイコを迎えに行くよ」
だから安心して、ね? 怖がりなクセに強がる彼女を背中から抱きしめて、耳元で囁く。
「……うるさい」
彼女は俯いたけれど、髪から覗く耳は真っ赤。そんな照れ屋さんが愛しくてたまらない、カイトはメイコの頭に唇を落とした。
離れるなんてゴメンだから
(「って言うか、そもそも俺がメイコと離れるなんてまず有り得ないから心配いらないよ」
「……ばか」)