※GUMI誕のオマケ



「それではまたー」
「じゃあねーグミちゃん、がっくんもー」


 呑み過ぎたメイコを支えながら手を降るカイトに見送られ、二人は隣家を後にした。
 結局グミの誕生日パーティーは時間を忘れる程のどんちゃん騒ぎとなり、年少組がダウンしておひらきになった頃には、日付が変るかというくらいに夜が更けてしまっていたのだ。


「いやー、凄い盛り上がりだったね」
「ああ。カイト殿は大事ないだろうか……」
「リンちゃんもレン君もハイになってたからねぇ……でもいつもあんな感じらしいよ」
「不憫だ……」


 夜道を歩きながら、ぽつりぽつりと言葉を交わす。酔ったメイコさんがどうだとか、ルカさんからの誕生日祝いはやっぱりセンスが良いだとか。


「……ところで兄さん」


 抱えてもらっているプレゼント類の一番上、小さな箱を手に取る。がくぽからの贈り物だ。が、


「いつの間にミクちゃんと買い物なんて行ったの?」
「!?」


 彼の両手を塞ぐプレゼントの山が一瞬宙に浮いた。おー、動揺してる動揺してる。よく落とさなかったなぁ。


「な、何故に、」
「だってさー、これ、兄さんの趣味じゃないでしょ?」


 箱を開け、中のペンダントを自分の目の高さまで持ち上げる。ゆらゆら揺れるのは苺のモチーフ。こんな可愛らしい物をこの時代錯誤気味な兄が選ぶとは、とてもじゃないが思えない。考えられる可能性はごくわずか。


「妹の誕生日に何を贈ればいいのかわからないから一緒に選んで欲しい――とか言って、ミクちゃんに頼んだんじゃないの?」


 大体の予想を口にすると、がくぽはあーとかうーとか言いながら視線を首ごと背けた。図星か……我が兄ながらわかりやすい。
 まぁ、そんなことはこの際どうでもいいと言うか、自ら彼女を誘って出かけたという点ではむしろ賞賛に値する。何せ元がオクテな上に二人共が無自覚だから、どこからどう見ても相思相愛なのに全くと言っていい程関係が進展しないのだ。これをきっかけにどんどんデートでもなんでもしてくれればいいと思う(過剰な期待だとわかってはいるけれど!)。


「それで、成果の程は?」
「……成果?」
「ああもう鈍いなぁ! 今度行きたい所がないかとか欲しいものとか訊かなかったの?」
「い、いや……」
「やっぱりか兄さんのバカ!」
「ば、馬鹿とは何、」
「いい、兄さん!?」


 意義を唱えるがくぽの目の前に人差し指をびしっ! とつきつける。彼が怯んだのを認めると、もう片方の手は腰に当てて、


「もたもたしてたらどこの馬の骨にミクちゃんをとられちゃうかわかんないよ!? 恋は戦争なんだから!」


 わかった? トドメと言わんばかりに念を押すと、兄はしどろもどろになりながらも頷いた。





これだからこの兄は!
(「とりあえず明日またお邪魔して、お茶にでも誘おうね兄さん。口実が要るなら今回のお礼にって言えばいいし」
「あ、ああ……」)





あとあがき:
こっちをGUMI誕として公開するかと思ったんですが友人に「色恋沙汰でしか書けないのかよ」と言われたのでオマケで。
マジでごめんよGUMI、そしておめでとう!
2010/07/01



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -