春怜様小説 | ナノ






イチャイチャしながら映画を観た後、神崎がうとうとし始めたので姫川はソファに置いてあったブランケットをかけてやった。それに気付いた神崎が後ろを振り返る。


「んぁ?」
「眠いんだろ?」
「そうだけど・・・、足痺れてね?」


そう言って、神崎は姫川の膝から降り隣に座った。丁度いいぬくもりがなくなったのは少し寂しかったが、確かに足は痺れている。
痛みに悶えたいのを必死に隠した。


「俺にもたれてもいいぞ」
「姫川も寝るのか・・・」
「おー」


たまには二人で昼寝するのもいいだろうと姫川は考える。頷くと、神崎は控えめに姫川の方に頭を預けた。そしてブランケットを鼻先まで持って行く。嬉しそうに目を細めた神崎に内心デレデレしながらも、姫川は訊ねた。


「どうした?神崎」
「・・・姫川の匂いがする」
「へ・・・」
「なんか、安心する」


そんな爆弾発言をして、あまつさえはにかんだりするものだから、姫川は思わず無表情で固まった。姫川の様子に神崎はどうしたんだと声をかける。それに何でもないと返しつつ、姫川は内心穏やかではなかった。


(かっっわい過ぎだろぉぉぉおおお!!!本当何なんだ今日のこいつはー!俺を殺す気か!そんな顔付き合ってて初めて見たんだけど!?もう力いっぱい抱きしめてぇー!)


そう心の中で叫ぶも、隣の神崎は姫川にもたれ掛って眠っている。今抱き締めたら確実に起こしてしまうので、姫川は自分の膝の上で拳を握りしめることで耐えた。


「くそ・・・っ!何だこのお預け状態!」


そう歯ぎしりするも、落ち着こうと深呼吸し姫川も目を瞑った。




















姫川が目を開けると、すっかり日が落ちていた。時計で時間を確認すると、まだ夕方だった。いつもなら晩飯を用意し始める時間だ。
ソファから立ち上がろうとして、隣に神崎がいるのを思い出した。神崎は姫川に体重を預けまだ寝ている。


「・・・おい」


起こそうと声をかけようとした時、神崎がピクリと動いた。


「ん、ぅ〜・・・」
「はじめ?」
「・・・今何時だ?」


神崎は瞼をこすりながら訊ねる。


「17時半。そろそろ晩飯の用意しなきゃな」


そう言いながら頭を撫でてやると、まだ寝ぼけているのかもたれていた姫川の腕に擦り寄ってくる。


「はじめ?・・・これ以上寝ると、夜に寝れなくなるぞ」
「あー・・・」
「晩飯何にする?」
「・・・確か、カレーのルーが残ってたよな?」
「だっけか」
「おう」


野菜もそこそこ残っていたはずだ、と神崎は言う。ヨーグルッチを取るため神崎の方がよく冷蔵庫を覗いているからだろうか。姫川のマンションなのに神崎の方が、冷蔵庫の中に詳しかった。


「じゃ、夜はカレーにするか」
「おう。・・・あー、と」
「ん?」
「俺が、作るわ」


神崎の言葉に、姫川は目を見開いた。その反応に、神崎は唇を尖らせそっぽを向く。


「んだよ。別に俺が作るの初めてじゃないだろ」
「そうだけど。・・・自分から言い出したのは初めてだったからよ」


いつも朝食以外を作る時はジャンケンなどで決めていた。どちらかが自分から言い出すといったことはなく、ジャンケンに寄っては一日に姫川がずっと料理をすることもあったくらいだ。
そんな神崎が、遠慮がちに呟く。


「・・・朝は竜也が作ってくれたし、昼は俺に付きあわせて寝ちまったから」
「俺も眠たかったからいいんだって」


姫川の反応に、神崎はムッとした表情で眉を顰めた。


「俺が竜也に作ってやりたいんだからいいだろ!」
「へ?」
「・・・・・・嬉しくねーのかよ」
「いやいや!すげー嬉しいって!」
「ん。じゃあ、作ってくる」


そう言って、神崎はキッチンの方へ行った。その後ろ姿を見ながら、姫川はソファにもたれる。


「・・・マジでデレ期ってあるんだなぁ」


何だか頬に熱が集まるのを感じ、姫川は自分の掌で顔を覆った。今まで、神崎に直球的な行動や言葉を投げかけてきたのは姫川だった。神崎とは違って交際経験も豊富だ。相手からのアプローチなどに対しても照れたり慌てたりすることのなかった姫川だが、いつもツンデレでしかもツンの割合の多い恋人からのデレは効果てき面らしかった。


「くっそー、心臓がうるせぇ」


今日だけで自分の寿命が少し縮んだのでは、と姫川が思う程度に心臓は早鐘を打っていた。










神崎が作ったカレーを食べながら、姫川はこのデレ期はいつまで続くのだろうと考える。決して嫌なわけではない。明日が学校なのが気になるのだった。


(他の野郎にこんなかわいい神崎ぜってー見せたくねぇしな。てか、このデレ期の後ツンだけになったりしてな。・・・いや、ツンな神崎も好きだけどね?)


姫川が無言で食べ進めていると、神崎がスプーンを咥えたまま上目遣いで様子を窺う。


「竜也ぁ」
「ん?どうした?」
「カレー、美味くない?」
「は?美味いぜ」


何言ってんだ、と返す姫川に神崎はしょぼんと眉を下げてみせた。


「だって、何も言わねぇから」


そう言って暗い表情をする神崎に、姫川は慌てて返事を返す。


「いや!ちょっと考え事しててよ」
「・・・俺といるのに余所事かよ」
「違うって!今日ははじめが素直でかわいいなぁ、って考えてたんだよ」


いつもの神崎なら照れ隠しに踵落としか拳が降ってくるのだが、デレ期到来中の神崎はかぁっと頬を染めた。


「・・・・・・俺がか、かわいいとか・・・ねーしっ」
「・・・・・・っ」


(か、かわいい・・・っ!)


スプーンを握りしめながら、姫川は思わず無表情になった。


「バカなこと言ってねーで、さっさと食べろよなっ」
「おう」
「あ、そうだ」
「ん?」
「今日は一緒に風呂入ろうな!」
「・・・っ!ぉ、おー」


(喜んでぇぇえええ!!!)



姫川は心の中でガッツポーズをした。


















晩飯を完食した後、二人仲良くキッチンに立ち皿を洗い、はにかみながらお願いされた通り一緒に風呂に入った。風呂に一緒に入ること自体は初めてではなかったが、いつもは姫川を警戒してかなかなかゆっくりと風呂にいることはなかった。それが今日、初めて背中洗いっこというものをしたので姫川はとてもご満悦な様子だ。
神崎の髪をドライヤーで乾かしてやりながら、鼻歌を歌う。


「竜也、まだか?」
「もうちょっとな」
「男なんだから、別にそんな乾かさなくていいだろ」
「風邪引いたらどうすんだ?・・・それに、俺はお前の柔らかい毛が好きなんだよ」
「・・・あっそ」
「はじめは、どっちの俺が好き?」
「は?」
「リーゼントな俺と、髪おろしてる時の俺」
「んー、さらさらの竜也も好きだけど・・・リーゼントの時のが竜也っぽくって好きだ」
「〜〜!はじめぇぇええ!」


いつもはフランスパンだのウザいだの言ってくるが、そんな風に思ってくれていたとは。姫川は感動のあまりドライヤーを投げ捨て神崎を抱き締めた。


「わっ、何だよ?」
「嬉しくてつい」
「?」
「俺、お前のこと一生大事にするからな!」
「なっ・・・、あ、当たり前だろ!バカ!」






翌日、昨日のテンションで神崎に抱きついた姫川は、しっかり照れ隠しの踵落としをプレゼントされたらしい。








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春怜様から相互記念で小説を頂いてしまいました!
フォアアアアアアアアアア!!
デレ期な神崎君非常に萌えます
今現在すごくにやけています
春怜様のデレ崎君を拝めて私は、
この世に悔いはありません!!
鼻血飛ばしながら天国へ召されます

素敵過ぎる小説をありがとうございました!!
今後もよろしくおねがいします(*´◯`*)


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