小説 | ナノ


白昼夢


「どうせ君も」

その音が紡いで出てきたその言葉。
僕の心には虚しく響き、刺さった。

君と僕の出会いは遡る。
4月の入学式。
君と僕は隣同士で冷たいパイプ椅子に座りながら長い長い校長の話しを聞かされていた。

君はそれを眠たそうに聞いていて、僕は面倒な顔で聞いていた。

「なーんか退屈だよね、こういうの。」

小さく、僕だけに聞こえた
君の声

「そ、そうだね」

緊張したその声は小さ過ぎて君に伝わるかもわからない。
でも、君はちゃんと聴覚で受け取っていた。

小さな声の小さな会話
それが僕達が繋がる、第一歩

その時期は桜がまだ綺麗で。

今も桜が綺麗で。

3月。
進級する、今。

君は桜吹雪と共に落ちた。
高い高いこの場所から

君は生きているかい?

どうせ君も

「私を見捨てるんでしょ?」




このことを、君に話そう。
今、ここで。

「見捨てないよ、絶対に」

「ちょっと、なんで私死んだことにされてるの」

「そういう白昼夢だった。」

「さいっこうに最悪ね」

君は怒っているけど僕は感謝しているよ
だって君が僕の中でどれだけ大切か、理解できたからね



白昼夢








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