小説 | ナノ


理由があっても嫌なのよ。


「私、アイクとは戦いたくないわ」

突然、なまえが言い始めた

「…急にどうした」

「だって、仲間なのになんで戦わないといけないの?」

この乱闘だけの世界で、共に戦い同じ敵を倒したりもする。
だが第一は、互いに競い戦うことなのだ

「仲間だから、…じゃないか?」

「仲間だから?」

アイクの言葉に疑問を隠せなかった
何故、仲間だから戦うのだろうか

「相手に勝ちたいからとか、自分の可能性を試したいからとか、競う理由は沢山ある」

「うん」

「相手が憎いからとか、誰かを守るためとか、戦う理由も沢山ある」

「…うん。」

「俺達は、それを含め仲間だからこそ戦うんだ」

「どういうこと?」

「信じてる相手だからこそ、できる」

ますます訳が解らなくなってきた
どう納得しろと言うのだろう

「それに、俺達は戦うことしか残されていない」

「…。」

「どうしても戦う理由がほしいなら…」

なまえはその言葉の続きに期待した
理由がほしいから、
仲間と戦う納得した理由が

「仲間と戦って自分の戦力を高めるため、で良いんじゃないか?」

「…なに…それ」

あまりに簡単な理由に、脱力。

「誰かと戦うことが一番の修業だ。」

「人と戦うこと以外でも学べることはあるんじゃないの?」

「これだけの人がいるんだ、大抵のことは学べる」

「…まあ…そうだけど」

「まだ、理由がほしいのか?」

「いいえ。十分よ」

自分の戦力が高まれば高まるほど、今後強い敵が現れても平気になるだろう

「それじゃあ、始めよう。乱闘を」

「…そうね、全力で。」

お互い武器を相手に向け、戦闘の準備は整っている。
あとは、合図を待つだけ

「でも、やっぱりアイクとは戦いたくないわ」

「…なんでだ?」

「それはね、」


3…



2…



1…



GO!!


「愛してる人だからよ」



合図ではなく、その言葉の終わりで
二人は戦う



理由があっても嫌なのよ。








×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -