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授業をサボってみたのは、単位も足りていたし何か色々面倒くさくなったからだった。保健室の薬品臭さも慣れれば良薬。案外あっさり借りれたベッドで深い眠りに着いていたおれだが、数十分もたたないうちに目が覚めてしまう。きっと今イビキかいてた恥ずかしいもう寝たくない。片腕で顔を隠しながら胸ポケットに忍ばせていた携帯を取り出しては点滅ランプにげんなりする。メルマガがくるようになったなそろそろアド変でもするべきか。
なんとなく今日の星座占いを読みながらベッドを降りる。


「もう体調はいいのか」


いつの間に保険医が残念眼鏡イケメンになったのだろう。
カーテンを開くときにさりげなく携帯を隠した自分が阿呆らしくなり、携帯の画面をもう一度見ながら「ええお世話になりました」失礼しますと保健室からでる。
なんだあの色気は保険医が似合いすぎてビックリしたよ倉持君。後からじわじわやってきた笑いに、誰もいない廊下でにやける。本当の保健室の先生は職員室だろうか。一応、教室に帰ると伝えなくては。


「ちょい待ち。彼氏ほっぽってどこ行くの」
「……だれがだれの彼氏だと?」
「俺が、自分の」


倉持君が倉持君の?
なんて、冗談で彼はおれのことを指していることくらいわかる。それがわかったとして、倉持君がおれの彼氏だというのが宇宙の果てに何がありますかという質問並みにわからない。携帯の星座占いには恋愛運皆無特に何事もないでしょうと書いてあったが、ではこれは恋愛沙汰ではないのか。ではこれを何と言おうか。混乱して巧い言葉がでてこない。


「自分案外薄情だなあ、あんな積極的に口説いたくせに」
「一回な。過去一回、未来永劫無いしもはや人生の汚点にすら感じてきた」


とゆか、え?向日君は。
問い掛けたいが口が重たくて動かない。だがしかし、何か感じ取ったのか彼は脱ぎ捨ててきたのだろう白衣からでた糸くずを叩き落としながら、にんまり笑った。自分の喉が急激に乾いていくのを感じながら小さく息を溢したおれは、彼の笑みにこころトキめかせている。あほうだ。
彼は泣き顔より笑みのほうが数倍も似合うんだと、頭のどこか奥の方で素直におもっていた。


「前田君なら、いいかなって、思ってる俺の気持ちどうするの」
「おまえの都合良い女になるつもりはない。男だけど。言葉のあやで。
向日君が泣くほど好きな倉持君に、おれなんて勿体無いんだ馬鹿野郎」
「そうだな」
「…つっこんでよ」
「いや、ほんとに思ってる。お前、あれから誰にも言わずに俺とも普通に接してくれてるじゃん?いい子だと思う」


授業中で静かな廊下はあと数分でチャイムが鳴り響き、あと二回程それを繰り返したら下校時間になる。
おれはいつもどおりに寄り道もせず家に帰り、いつもどおり何も考えずぼんやり晩御飯を食べてお風呂に入って寝て起きてを繰り返すつもりだったのに。



「いい子な前田くんに、恋しても可笑しくないだろ」



ばかだろ倉持君。






そんなこと言われたら四六時中君ばかり
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bkm