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口特に触れ合いの無かった時期



この小説が好き、この受けが好き、この攻めが好き。
ああもどかしいだとか萌えるだとか、本を読んではにやける顔を抑えていた。

俺は優等生

与えられた事をきちんとこなし、期待に応える学生の模範生でなくてはいけない。

それは産まれた時から決まっていたわけではない。自分がいつの頃からか、親に褒められたくて勝手に自分でそうしていた。親に嫌われたくなくて、頑張ったって褒められたくて、好きなことをしていいと言ってくれても自由をくれても何となく。

俺自身が初めてのわがままを言ったのは、白雪北斗学園に入りたい。それくらいだろうか。もちろん俺の初めてのわがままはすぐに親が聞き入れてくれて、あっさりと入ったそこには俺の萌えが一杯だった。


「真崎の真似してお財布にした」

「へえ…ぶは!かえるのがまぶち財布って、犬飼!」

「かわいいだろ」

「おーおーかわいいわーはははっ」


阿呆×平凡。嫌いじゃない。
最近は一周して平凡受けがブームな俺には後ろの席の真崎がものすごく輝いて見える。もう明らかに発しているあの受けオーラに入学して一年三か月目、ようやく気が付いた。
さすが平凡だ、何も特記出来るようなことがないだけあって気づくのに遅れてしまった。後ろの席にならなかったら、他のネコたちに隠れたままだっただろう。


「委員長、お顔が緩んでますが?」


目の前に立つ副委員長が、わざとらしく委員長と呼んで俺をみた。
めがねを中指で持ち上げる仕草で顔を隠し、そのうちにキリッとした表情に切り替える。俺の趣味は、俺の親衛隊しか知らない。

知られては、才色兼備の委員長の名が廃る。


「平凡受けの良さがわからない、と言うより真崎雄大の良さ」

「俺もわからないよ。わかった時は、三玉も攻め要員になるんじゃないか?」


冗談にして返すと、猫目を細めて「僕は受け」とだけ言ってじぶんの席へ帰って行った。
俺のにやけづらを注意しに来ただけだろうか、まめな親衛隊長でなによりだ。



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