小説 のコピー | ナノ
口
マッキーってお前だったのか。
今日いちばんの衝撃に、いつも無口を貫いていたのを解禁してしまった。
廊下で和嶋と蜂谷と真崎が立ち話していたから、厄介だなと思いながら蜂谷に生徒会室かえるよういったら「じゃあねマッキー」なんて言うから去ろうとしてた足を止めて振り返る。
これが、マッキーだったのか。
蜂谷のパンツはいてる、あのマッキー。
和嶋の親衛隊なはずなのに、蜂谷の……。
俺自身、見慣れかけているこの真崎が、まさか男2人を手玉にとるようなことをするなんて。なにかの間違いだよな?そう思ってマッキーなのかと問い詰める。
「そ、そうですね。蜂谷先輩にはマッキーって呼ばれてます」
間違いじゃないだと……?
ひとは見かけによらないというが、予想外過ぎる。
もしかしたら緩い和嶋にほだされているのでは?蜂谷の毒牙にまんまと引っかかったのでは?ここは俺が更生させてやったほうがいいのかもしれない。
「真崎、和嶋か蜂谷、選ぶならどっちだ」
わざと本人たちの目の前できくことで、二人のどちらかを諦めさせる戦法だ。
真崎は「え」とよく分からないという顔をするが、その横にいる和嶋と蜂谷は驚いたように瞬きした。なんでお前らのほうが緊張してる。
「正直に言え真崎」
念押しして答えさせようとすると、何基準に選べばいいやら…と言葉を濁す。こいつ、上手いな。
「和嶋の親衛隊なんだろう」
「え?」
「なのに蜂谷とは蜂谷のパンツを履くような仲なんだろう」
「え、あの」
「不埒なのは良くないと………何笑ってる」
声を抑えてわらう和嶋に、耐えられないと声をあげてわらいだす蜂谷。
真崎はひと息遅れて、なにか察したらしく苦笑した。
(それは勘違いです)
main