小説 のコピー | ナノ
口クラスメート
「まさやん、これ教えて」
「え知らない」
「まさやん、これ貸して」
「え貸さない」
「なんで俺を突き放すの…!」
教室のなかが賑やかになったように感じるのは、たぶん気のせいではない。
まさやんに絡んでるやつらは、ずいぶん楽しそう。
犬飼しかりあほみたいな輩に好かれる性質なのか?おれもそんなあほみたいな輩の一員なわけだが。そう思っていたら今度は三玉が何か話しかけ、まさやんに服を掴まれた瞬間すごい速さで逃げて行く。
それを見て「またか」とわらう委員長と、楽しそうに笑うまさやん。
…あほみたいな輩、以外にも好かれてるらしい。
持っていたシャーペンを回しながら眺めていると、視線に気づいたのか目が合う。
目があった途端まさやんが俺の手元をちらりと見て、真似するように自分の持っていたシャーペンを回す。
が、逃げ出すようにシャーペンが手から滑り出て行くじゃないか、下手くそかよ。
委員長に拾われてもう一度こりることなく回すが下手くそ。
肘ついて顎を支えてた手のひらで、口元を隠してわらう。
それをまさやんに見られて、一瞬真顔になる。
「「……」」
ぶは。どちらともなく吹き出して、2人だけの空間が出来たような気がした。
なにが起こったか分かってない委員長が驚いてこちらとまさやんを見比べてるけど、まさやんは別に何でもないと言う顔をする。
その顔がまた構いたくなるというか、1日1回まさやんと絡めたら良いかな〜っていう感じ。
「おい塩田!今まさやん盗み見してたろ!」
「はあ?秘密のアイコンタクトしてたんだよ、まさやん見てみろよ!」
「あっ。ウィンクしてくれた」
「アピール力高いな」
(あいつ以外とお茶目なんだよな)
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