小説 のコピー | ナノ
口
昼前。
たまたま屋上に宇佐見がいたから話していたら、蜂谷がきた。
相変わらずごてごてなピアスやアクセを宇佐見に馬鹿にされながら「せっかくジャン卓持ってきたのに」なんて、麻雀を始める気満々だ。
おれは仮眠を取るつもりだったのに勝手に頭数に入れられているようで三麻が始まる。
学園でなにをやってんだ生徒会かよこれでも…。
「伊神ー言われてたパン犬飼が食べちゃ、て……あ。」
屋上の扉をあけて、喋りかけながら入ってきた真崎は俺以外の存在に気付くと失礼しましたと戸を閉めた。
「だれ〜?」
蜂谷はいちごミルクを飲みながら、手牌を捨てる。
見向きもしてない癖に真崎を気にしたように言うから、友達。と返す。
「え、チヅってわんこ意外に友達居たんだ」
むしろ犬飼しか友達居ないと思われているあたり心外だ。
可笑しそうにする蜂谷とは反対に、宇佐見は眉間にしわを寄せて顎に手を当てる。
「あんな奴、店で見たことねえな」
「連れて行かないよ。あいつは喧嘩出来ないし酒も飲まない」
「へえ、それでよくチヅと友達になれたねぇ」
確かに。なんてそれは俺が一番疑問だ。
だれもあがれずに流局になった手牌を混ぜて積み直す。
「もしかして、具合がいいとか」
そう真顔で言う宇佐見にドン引き。
あと真崎をそういう風に考えられたことが、単純に腹立つ。
「違うから、もう気にするな」そう言って真崎の話を逸らそうとすればするほど、二人が気にし出すのがまたうざい。真崎って言うんだ?じゃねえよ。名前を覚えるな。
「じゃあさぁ。マッキーって別に友達じゃなくない〜?」
あだ名をつけるな……。
(真崎と出会うずっと前の話)
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