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たくさん周りを裏切ってしまった。

たくさんの人と約束をして、できるだけたくさんの人を救おうとして、前ばかりみて進んでいたらいつの間にかたくさん見落としてきた。
こんな俺を許す周りが当たり前で、俺もそれに甘えていた。

真崎雄大。

なんて寂しそうな顔をするやつなんだ。って思った。

助けたい。そう思って近づくと近づくほど、俺を見る目が嫌悪に染まっていく。なのに、どこか優しくて。ちぐはぐなそれに興味が沸いた。単純に助けたくてそばに行くのではなく、真崎雄大を知りたくなった。


「ユウ!」


おれしか呼ばない呼び方だから、すぐに俺に気が付く。

気づいて、眉をひそめて、仕方なさそうに笑う。
そんな顔に出やすい素直さに、きゅうと心が痛くなる。

なんでそんなに俺が嫌いなの?嫌いならなんで笑うの?なんで一緒に行くか誘ってくれるの。助けてくれるの。


「おいこら、ヅラずれてるぞ」


眉をひそめて可笑しそうに笑うときだけは、本当に屈託なくて。

そんな稀な笑顔を見たときは、瞬きすることすら惜しいと感じる。
ずっとこんな顔で笑ってくれたらいいのに。悲しそうな顔や嫌そうな顔じゃなくて、ただ純粋に俺といて楽しいって顔。


「…神童?」


なんだかんだ面倒見のいいユウは動かない俺のウィッグを直して、ぽんと頭を叩く。

そんなしぐさがまた優しくて、感情が安定しない。

もっと、もっと、好かれてないかもなんて不安を消してしまえればいいのに。



本当に俺のこと好きになって、名前を呼んだだけで笑いかけてくれる日まで




(渇望)
(君はなにを思ってるの)



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