ふと思った疑問とその答え


「はぁ〜vv今日も綺麗なジョーイさんに出会えて…オレは幸せだ〜っ!!」

タケシはポケモンセンターに着いて早々、グレッグルにどくづきされた背中をさすりながらも、幸せそうに先程ジョーイさんの手を取った自分の右手を頬っぺたに当てて喜んでいた。




ふと思った疑問とその答え



「なぁ。何でタケシはジョーイさんやジュンサーさんに会った時そんなに嬉しそうにするんだ?」

「ははっ、サトシには分からないだろうなぁ〜。
出会った瞬間ビリビリッと衝撃が来て無意識に鼓動が高鳴る…これは言わば病気なんだ」

「びょ、病気!?」

「そう!!!正しくは恋の病だ!!!
その人の事を思うと体がジワジワと熱くなってきて、嬉しくなって…気付けば目で追い掛けちゃったりする訳だ」

両手を組みながらうんうん、そうだよなぁ。と タケシは自分の言った事に自分で納得していた。

「サトシにはまだそういう経験はないのか!?」

「ん〜…あっ!!ビリビリって来る事はあった!!!」

「なにぃ!?一体それは誰に対してだ!?」

「ピカチュウ!!」

「へ?」

「はじめて出会った時いきなりビリビリって来たんだよ!!!あれはかなり衝撃的だったぜ。流石にゴム手袋なしじゃ大変だったけど」

サトシは嬉しそうにピカチュウとの初めての出会いについて語ったがタケシは思いっきり前のめりにズッコケた。

「っ!!タケシ、大丈夫か!?」

「サトシ…そういう物理的な衝撃じゃなくってだな、もっと別の…こう胸にジワ〜っ、と来るような衝撃を誰かに感じた事はないのか?」

洋服に付いた砂埃をパンパンと払いながらタケシはサトシに分かりやすいように聞き返す。

「え〜??そんな人思いつかないよ。
まぁ…ジワ〜っとじゃなくって、その人にイラッとすることはあるけどな」

「イラっと、か?」

あまり人に対して嫌悪感をもつような言葉を言わないサトシが珍しくその人物に対してだけ嫌悪を表している。
よっぽどその人とは歯車が合わないのだろうとタケシは思った。
そこで、とりあえず思いついた人物を挙げてみる事にする。


「もしかしてシンジの事か?よく口論になるしな…。お互いの考えるバトルスタイルが違うから仕方ないとは思うけど」

「へ?シンジ!?違う違う!!確かによく反発しちゃうけどさ、オレだってアイツの言ってることが全部間違ってるなんて思ってないんだぜ?」

「そ、そうか?」

一番確信を持っていた人物が間違っていた事に驚いたが、サトシがシンジの考えをしっかり理解しようとしている事にも驚いた。
サトシも少しずつ成長してるんだなぁ〜、と嬉しく思うタケシの姿はもう立派な母親の顔だった。


でも … じ ゃ あ、 一 体 “ 誰 ” な ん だ ?


まさか自分!?いや、まさかな?
そもそも、自分に対して嫌悪を抱いているのなら一緒に旅なんてしないはずだし、それを考慮すると今までサトシと旅を共にして来たメンバーはこの枠から自然と外れるはずだ。

「その人に対して他に何か思う事はあるのか?ほら、ムカツクとか嬉しいとか」

「ん?そうだなぁ・・、イライラするし、ムカムカするし…
何だか胸がモヤモヤしてさ、もう顔も見たくないって思う時もあった。
でも・・・・・・」

「でも?」

スラスラと話していたサトシの声が急に止まった。


「でも…たまにさ、急に会いたいな〜って思う時があるんだ。
へ、変だよな!?あんだけ嫌いだって思ってたのに!!
だけど、いざ会ってみたらまたイライラするんだ…あれだけ会いたいって思ってたのに。
本当は凄く嬉しいハズなのにさ…」

身長差のせいでサトシの顔は帽子に隠れて見ることは出来なかったが、ほんのり赤くなった耳を見れば容易にタケシはその表情が想像出来た。

「・・・・・サトシ!!!」

がしっとタケシはサトシの両肩をつかんだ。
その手は何故か震えている。

「タケシ!?どうかしたのか?」

「いつまでも子供だ子供だって思ってたけど…
い、いつの間にかこんなに成長して…お、オレは…
うっ、母ぁさんは嬉しいぞ〜っ!!!!!」

「はぁ!?タケシ何言ってるんだよ、ってか何で泣いてるんだ!?」

タケシの細い目からはドバドバと地面まで一直線の涙が流れていた。

「今は何も分からなくてもいい!!!ただ、その思いだけは大切にするんだぞっ!!!」

「へ?あぁ、うん」

「2人ともお待たせ〜っ!!!ってうわっ!!どうしたのタケシ!?何で泣いてるの?
サトシったらタケシに何かしたの!?」

ジョーイさんにポッチャマ達を預けて帰ってきたヒカリにサトシは内心ほっとする。

「オレは別に何もしてないって!!タケシが急にっ・・

「ヒカリっ!!!お前にもいつか分かる時がやってくる!!!
それまで…オレが誠心誠意お前を、お前たちを、育ててやるからな〜っ!!!!!」

がばっと2人の肩を抱いてさらに泣き出すタケシに、サトシとヒカリはただただ唖然と立ち尽くす事しか出来なかった。



ーENDー




〜おまけ〜

「君から電話なんて珍しいね、僕に何か用かい?」
「あのさ、タケシからの伝言なんだけどな」
「?」
「幸せにしないと許さないって」

「へ?」

「オレ思うんだけどさ、タケシってお前の事好きなのかな?」
「はぁ!?いやいや、きっとそういう意味じゃないと思うよ」
「そ、そうか?…なら良かった

「…?何か言ったかい?」

「いや、何も」

「あ、ついでだから僕からも伝言、伝えといてくれ。
勿論。絶対に幸せにします、ってさ」

「ああ、分かった!!!!何かよく分からないけど伝えとく!!
あ、じゃぁそろそろ切るな」

「ああ、じゃぁね」

「おうっ!!!またな!!次会ったらまたバトルしようぜ!?」


ーENDー


あとがき....
サトシは無意識に恋をしてたらいいなぁと思って書きました。
話し相手は恋の師匠タケシ。
タケシはやっぱりみんなの母デス(笑)



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