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 男の子

それは偶然に出会った


「名前ちゃーん」
「渚くん、久しぶりだね」
「今日はお仕事休みなの?」
「うん」
「…ねぇ、今から海行かない?」
「海?別にいいけど…」


どうせ、ぷらーっと散歩するつもりだったしいっか


「暑い…」

海に来ると余計暑く感じる

「名前ちゃん、こっち」
「こっちって…海じゃん」
「いいから!」
「わわっ!!」

私の手を引っ張る渚くん
…手、大きくなったね

「冷たっ」
「気持ちいいでしょ?」

足だけ海に浸かってる状態
…渚くん、絶対私に水かけっ!?

パシャ

「やっぱり…」
「へへっ」


「渚くん子供っぽい…」


たった何気ない一言だった


「僕、もう子供じゃないよ」
「へ?」
「昔と…違う」
「きゃっ!?」

バシャン

「な、渚くん?」

渚くんに押し倒された

「僕男の子なんだよ?」
「知ってるよ」


そんなことは、ずっと知ってる


「名前ちゃんのことが好きなの!」
「私もだよ?」
「子供が言うような好きじゃなくて、」
「知ってる」
「え?」
「私、ずっと渚のこと好きだったもん」


だから…知ってる
渚くんが男の子だってことも
子供じゃないことも


「はあ…渚くんのおかげで服が濡れたじゃん」
「ご、ごめんね」
「責任取ってよね」
「う、うん…」


「私を離さないでね」


渚くんは笑って「当たり前だよ!」と言った
…渚くんのその笑顔が大好きだよ



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