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 好きな人

「ハルちゃーん」

「ハールちゃーん」

「遙くん」

「…聞こえてる」

「なら返事してよね!」


相変わらず、ハルちゃんは水風呂
…好きだなぁ、水


「いい加減ちゃん付けやめろ」

「いいじゃん、可愛いし」


昔っからハルちゃんって呼んでたのに
なんで呼んじゃいけないの?


「だからだよ、バカ」

「むっ…!可愛いほうが絶対いいじゃん!!」

すると、ハルちゃん…遙くんがいきなり立ち上がり

ドンッ

…水も滴るいい男
遙くんのことじゃない?

「俺、男なんだけど」

「え、あ、うん」

壁ドン
遙くんに壁ドンされた


「ハル!学校遅れ…」

『……』

「ごめん、」

突然現れ去ったまこちゃん

「まこちゃぁあん」

全力で叫んだ



まこちゃんに助けてもらい、サバを食べている
あ、ハルちゃんが作ってくれたの

「驚いたよ、まさかハルが」
「私も驚いた、遙くん機嫌悪くなるんだもん」
「……」

もくもくと食べてる遙くん

「でも分かるよ、ハルの気持ち」
「??」
「好きな人には名前で呼んで欲しいよね、しかも可愛いよりもカッコいいの方がいい」
「へー、遙くん好きな人いるんだ」

ピタッ

箸が止まる

「…俺、先に学校行くから」
「まこちゃん?」


「言っとくけど、ハルの気持ちに気付いてないの名前だけだよ」


みんな知ってるらしい


「で、遙くんの好きな人って?」
「さっき可愛いって騒いでたのは誰?」
「私」

だって、ハルちゃんって名前可愛いでしょ?

「…俺は可愛いわけ?」
「ん?カッコいいよ」
「俺も男だし、可愛いは誉め言葉じゃない」


…そうなの?


「…ねぇ、遙くんの好きな人って誰なの?」
「はぁ、やっぱバカ」
「なにをー!!」


すると耳で囁かれた


「な、ハルちゃん!?」
「名前」
「…遙」
「で、返事は?」
「…よろしくお願いします」





“名前のことが好きだから”



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