小説 | ナノ



最近の私の周りでは、非日常的なことばかり起こる。



「よぉ、お帰り。」



家のドアを開けるとなんだか黒っぽい物体が私に話かけてきてる気がするが無視だ、無視。
さて、夕飯の支度でもしますか。今日のメニューはみんな大好きハンバーグ、の予定。
なんかいきなり食べたくなっちゃったんだよね。



「いきなりシカトか。随分と偉くなったもんだな。」



肉はちゃんと買ってきた。卵と野菜達は冷蔵庫に眠ってるし、作る準備は満タンだ。
まぁ、ハンバーグくらい買ってくるって選択肢もあったけど、明日は休みだし久々に料理をしたくなったのだ。
最近した料理といえばお湯を注いだり、お湯を捨てたり、レンジで温めるだけだったし。
よしっ、頑張るぞー!



「お前の3DS、逆パカするぞ。」

「すみませんダーク様無視した私が悪ぅございましたなのでそれだけはご勘弁を。」



私の見事な意気込みは全て土下座する気力へと早変わりした。



「ったく、始めからそうしてろよな。」

「えー……」

「あぁん?何か文句あるか?」

「いいえ何もございませんですから3DSだけには何卒ご贔屓を!」



黒い彼の手の中にあるのは、私の命の次に大切な3DSちゃんである。しかも時オカリメイクがささってるという事実付き。
それを人質に取られては、私は動けない。

だってまだ裏のハート3つ縛りが途中なんだよォォォ!!!



「あ、そーいえばダークは風タクやった?」

「やるわけねぇだろ、馬鹿が。」

「馬鹿!?馬鹿って私!?」

「……」



無言で私を憐れんだ目でみる彼。
自覚ないのか、可哀想な奴だな。
と言いたいことがひしひしと感じられた。

私は確かに馬鹿だけどただのリンク馬鹿ですぅー、と心の中だけで反論しとく。(今だに3DSちゃんは黒い奴の手にあるからだ)



「なんでやんないの?ムジュラかトワプリがいいの?暗い世界観がお望みなの?」

「なんでそうなるんだよ。つーか、選択肢少ないだろ。」

「え、てっきり風タクやらないからそうなのかと。」



風タクの、のほほん世界観が嫌いだからやらないものだと思ってたんだけど、違ったらしい。
あと3DSをいい加減返してほしい。愛しの勇者様、カムバック!!



さて、皆さんもお気付きだと思うが、何故か私の家にいる黒い物体は影の勇者様、ダークリンクなのです。

確か、あれはハート3つ縛りの表の時オカプレイ中のこと。
水の神殿にて中ボス(ダークリンク)戦をしてて、ダークリンクがマスターソードの上に乗ってくるのがわかってたけどムカついて、ムカついて、ムカついて。
3DSをシェイクしまくった。
これでもか、って程。

そしたら黒い物体がいきなり画面から飛び出してきたわけですよ、びっくり!



「今日の晩飯、何?」



私が持ってるスーパーの袋に反応した黒い彼。
どうやら夕飯が気になるらしい。



「ふふーん、アンタに当てられるらしか?」



当てられなかったら3DS返してもらおう、とか考えてたのに、ダークはどや顔で



「ハンバーグだろ。」



と答えを当ててしまった、ちくしょう!
逆に何でわかったのか知りたいわ!!



「じゃ、俺は寝てっから。」



ダークはごろん、と3DSを枕にしながら横に…って!



「なんで3DSが枕なんだよ!!」

「別に何を枕にしようが俺の勝手だろ。」



ふぁー、と欠伸を噛み殺しながらの回答。
ダークの言ってることは確かにそうだけれども!!



「ここ、私の家なんですけど!?」

「あー、あー、聞こえないなー、」



くそぅ、ムカつく。
でも3DSちゃんが魔の手にあるうちは下手なことを言えない……っ!!!



「晩飯出来たら起こせよな。」



ダークはもう完全に寝る態勢だ。
あっ!彼が寝静まったら3DSちゃんを取り返すのはどうだろうか!?
私天才!!名案じゃね!?



「……」



と思ったが、なんだかその後が怖そうなんでやっぱりやめます。

あーあ、なんでダークリンクなの。
なんでダーリンなの。
神様、これが時の勇者様だったら私は文句なんていいません。
だけど、なんで影の方なんですか!?
や、別に嫌いじゃないんです。むしろキャラ的には確実に好きな部類に入ります。
でもそれとこれとは話が別次元すぎるだろ。



「あ、俺あとコーンスープ飲みたい。」

「えっ、面倒くさい。」

「………」

「はいはいわかりました!!承知しました!!だから無言で3DSに手を伸ばさないで!!」



それだけは本当に止めて!!!

半ば脅迫されながら私は台所に向かうのであった。










∵ダークリンクよりもリンクが好きな子の所になぜかダークリングが来ちゃったお話。



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