彼の前哨戦

 荒神博をどうするか……。
 荒神真佐紀は、家で一人考える。
 当主である雷蔵から伝えられたことについてを思い出しながら、彼はこれからどうすべきか頭を悩ませる。
 ふと、ドアからノックの音が聞こえた。控えめで、小さな音。すぐさまどうぞと答えると、開いたドアの隙間から家族である少女の姿が見えた。
 長い髪を三つ編みにした少女は、真佐紀を見つけると近づいてくる。そして、小さな声で聞きたいことがあるの、と言った。
 その聞きたいことにわずかながら心当たりがある真佐紀は、どうしたのと言ってから彼女が声を出すまで黙る。しばらくの間沈黙が続いたが、控えめな声が彼の耳に入ってきた。
「今度の荒神博に、真佐紀お兄ちゃんと一緒にやったやつをやりたいんだけど、いいかな」
 問われた言葉は、小さな希望。真佐紀は瞬時に、答える。
「いいねえ、それ。ただ、僕は当日外せない用事があるから、もしよければ当日については瑠璃ちゃんにお願いしていい?」
 申し訳なさそうな顔をするのを忘れずに、真佐紀は言う。すると、何も知らない彼女は緊張していた雰囲気をゆるませた。
 いいの、と尋ねてくる瑠璃に、真佐紀はぜひお願いしたいんだ、と返す。少しの間彼女は思案するような顔をしていたが、すぐさま頑張ります、と言った。
 内心ほくそ笑んだ真佐紀は、当日以外は手伝うから、荒神博の日はよろしくと言う。瑠璃はよろしくお願いしますと返すと、二人はしばらく荒神博のことについて話し合った。

 夜、瑠璃が部屋から出ていったのを見た真佐紀は、自分の部屋を漁る。どうやら運がいいらしい。真佐紀は適当に部屋から出たあるものを見つめると、怪しい笑みを浮かべながら何かを作り始めたのだった。

 

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