暗い夜でのかんがえごと

 雨の降る音と蛙の鳴き声が聞こえる。まるで合奏のようだ。窓のほうを見ながら、玻璃は小屋の中でぼんやりと考える。
 夜ということもあってか、外は暗い。小屋の中も、うすぼんやりとした明かりがあるだけで、細かい動作をするには不向きである。しかし、特にやることもない玻璃は考え事をしていた。
 彼が考えるのは、一人の少女のこと。幼いときに荒神に入った、瑠璃という名の娘。なぜこんなにも彼女のことが心配なのかわからないが、それでもあの少女のことを考えることをやめられない。
 まるで娘を見ているようで、玻璃はいつも瑠璃を見ていた。記憶も何もなく幽霊として目覚めた彼が一番最初に見つけたのは、一人ぼっちのあの子で。玻璃を見つけた少女は、嬉しそうに名前をつけてくれて、話しをして。
 昔のことを思い出し、玻璃はゆるやかに笑む。しかし、すぐにその笑みは険しい顔へと変わり、今は一人で寝ているだろう少女について考える。
 瑠璃がもといた家よりも、荒神のほうが彼女の生活にはいいことはわかっている。しかし、荒神の薄気味悪さとそこに属している人物の様々な噂を知っている玻璃は釈然としていなかった。
 考えても仕方無いとはわかっているが、それでも不安に思う。願うのは、彼女があの場所で健やかに暮らしてくれること。いつしか彼女の平穏が崩れないことを、祈るばかり。
 玻璃は、重いため息を吐いてぼんやりと窓の外を見続けながら、朝になるのを待っていた。

 

   

 


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